2019.06.03 月曜日

豊橋発:会社役員で注意すること

会社役員は労働者ではない。

 労働者というのは労働契約で結ばれた者で、雇主である会社に対して労働を提供する義務がある。「労働」の本質は時間的拘束と指揮命令関係がある点にある。

 会社役員というと普通は取締役以上だ。社長、専務とか、部長と呼ばれたりする。役員と労働者を兼任する場合もある。

 ともかく、取締役は会社法によって定められた役職で、労働契約とは大きく異なる。私たちの世界では「委任」と呼んでいる。委任と雇用との違いというのはなかなか難しいところがあるが、委任は職務上任された裁量の幅が違う。

 役員は労働者ではないので、労働法制上の義務がない。たとえば労働時間という考えもない。自分の裁量で動くことができる。時間も自由に使える。出社しなくても許されてしまう。

 労働時間という考えがないので、労働基準法上の拘束も受けない。労働者保護法制は当てはまらないのだ。

 しかし、普通は「委任契約」という契約で結ばれることが少なからぬあるので、自由と言っても契約に縛られてしまう。

 このような自由な地位にたつので、役員の義務は「忠実義務」と呼ばれる義務で結ばれる。役員の地位の高さから役員は原則として競業行為、つまり同業他社のために働くことは許されない。会社と利害を対する契約の相手方になることもできない。

 役員との会社の関係は法律と言うよりは強い倫理で結ばれる側面が強い。会社が社員から役員を迎え入れる場合であっても、よほど倫理観の強い者を選ぶ必要がある。会社文化をよく受け入れてもらう必要がある。

 役員の契約内容もかなりしっかりする必要がある。執行役員規程を整備している会社も多い。

 なお、役員の退職金は注意する必要がある。身内、たとえば創業者のために退職金規程を作る場合がある。この場合、かなり高額に設定することがある。ところが、これを放置しおくと、従業員役員にもそのまま当てはまってしまう。

 また、会社の経営が苦しいときには退職金は出ない仕組みを作っておかないと、経営が厳しいというので逃げ出した役員に高額な退職金を支払わなければならないという悲惨な結果を招くことがある。

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