2020.02.10 月曜日

豊橋発:文書提出命令

弁護士の力からすればいろいろな文書を入手できるんじゃないかと考えている人は少なくない。しかし、実際には弁護士には強制力をもった調査権限がないためどうしても限界がある。

 私たちが調査できるとすれば、文書提出命令ぐらいだ。米国ではディスカバリーを呼ばれる制度があってかなり公判に相手方が持つ資料を入手できる。しかし、日本の場合はかなり制限されている。特に、裁判所は模索的な行動をいやがる。

 たとえば、不正競争防止法は営業秘密を盗み出して自社の事業を不正競争として禁止している。この法律を利用して相手方の不正な行為を差し止めたり、損害賠償を請求する場合に、盗んだとされる情報を明らかにしなければならない。

 それでは実際に相手に盗んだ情報をもとに事業をしているかを追及するためには、相手方が現に持っている情報そのものの提出が不可欠だ。そこで、不正競争防止法は「営業の利益」を保護するために文書の開示を求める手続きを用意している。

 条文上文書の開示を求めているのだが、それでも裁判所はなかなかこの条文を利用させない。模索的、探索的申立を極度に嫌い、申立が認められるためには「侵害行為があったことについての合理的疑い一応認められることが必要である」とする。

 東京地裁、平成27年7月27日の事例は、文書提出命令を認めている(判時2280号121頁)。
 これはHGO(方向性電磁鋼板)にかかわる営業秘密が問題になったが、相手方がHGOの製造にかかわっていること、相手方が関連技術者と業務提携していること、技術協力に数億円支払っていることなどから技術情報を不正に取得した疑いがあるとした。

 私の考えでは「疑い」まで立証するのはけっこうきつい。
 やはり、徹底したディスカバリーが必要だと思われる。また、日本の裁判では当事者は平気でうそをつく。アメリカなどでは虚偽を述べたことがばれたときにはとんでもない制裁が下されるため簡単に嘘がつけない。日本の裁判所はなめられているので、うそも許されてしまう。

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