2020.03.09 月曜日

豊橋発:「儲けすぎていないか?」

上場会社ではコーポレートガバナンスコードということが言われて久しい。管理体制構築義務は不正防止の観点から検討されていた。

 大和銀行事件はニューヨーク支店スタッフが損失の発覚を恐れてアメリカ国債保有高を偽造した事件だ。実に11年間不正が発見されないまま推移し、アメリカ金融当局(FRB)から3億4千万ドル(約350億円)の罰金を命ぜられた。

 これは国債のトレーダーに対して保有高を管理するチェックする第三者的な機構が存在しなかったことから、銀行代表者の体制構築義務違反が問われた。この事件は役員の体制構築義務が判示された最初の事例として有名だ(※1)。

 大阪地裁は「健全な会社経営を行うためには、目的とする事業の種類、性質等に応じて生じる各種のリスク…の状況を正確に把握し、適切に制御すること、すなわちリスク管理が欠かせず、会社が営む規模、特性等に応じたリスク管理体制(いわゆる内部統制システム)を整備することを要する」と判断した(判タ1047号86頁)。

 大会社はもちろん、中小企業においても内部体制は重要な課題だ。特に成長傾向にある会社においては内部体制がどうしても追いつかないことがあるので注意を要する。「儲け過ぎていないか」という問いは常に必要だ。

 これはちょうど思春期の子供が体は大きいが心やホルモンのバランスが追いついていないこととよく似ている。次々と支店を設けて利益をあげ支店長を置くことになるが、ガバナンスを徹底していないと、丸投げ方式の経営になっていく。支店が本当に利益を上げているのか、とんでもない冒険的取引をしていないか監督がないまま暴走することがある。

 これは思春期の若者がいけいけで平気で悪いことをするのに似ている。気付いたときには大きな損害、時には会社の存亡にかかわる悪さをすることがある。しかも、会社にうその報告をしてそれをごまかす。

 ガバナンスを徹底するためには企業ルールが必要となる。「ほうれんそう」によって部下が上司の手足のように動いているという感覚が起こるような関係が必要だ。

 こうしたルールがあって初めて部下に権限ができ、部下は安心して自分の判断ができる。会社から権限をもらっているという実感がより責任ある行動、より自由な活動を保障することになる。

 もっとも、いくら緻密なルールがあってもすべては決めることはできない。結局、最後は企業文化の到達点が問題となる。

※1
 会社法は内部統制システム構築に関する決定権限を、 取締役会設置会社では取締役会の専決事項として (会社法362条4項6号、 416条1項1号ホ、3項)、 取締役会非設置会社では取締役の多数決専決事項として (会社法348条3項4号)、 明文化した。 大会社および委員会設置会社では、 内部統制システムの整備に関する事項を決定することを義務づけた (会社法362条5項、 条2項、 条4項)。 

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