名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.02.28 火曜日

自転車の欠陥と製造物責任

自転車走行中にサスペションが壊れて転倒した結果、首の骨、頚髄を損傷した。その結果、男性は四肢の麻痺のためにトイレにも自力でいけない重度の障害を負った。このような事例で、自転車の輸入業者に製造物責任が認められた。賠償額は1億4717万6388円である(東京地裁H25.3.25、判時2197号56頁)。

 
【製造物責任法の趣旨】
 製造物責任は商品の製造者に責任を課すものだ。通常、消費者と製造者との間には直接の関係は無い。そのため、製品に欠陥がある場合に責任追及が難しくなる。
 
 そこで、製造物責任法を設けている。法律によれば、①欠陥があること、②欠陥によって生命身体が害されたことで賠償責任が発生する(法3条)。
 
【欠陥】
 製造物責任法における「欠陥」は必ずしも厳密な立証はいらない。
 
 上記事例からすれば、「その(自転車)の特性に従い、通常予想される使用形態で使用していた」場合、サスペション内のスプリングが破断してサスペンションが分離するという事情は「通常有すべき安全性」欠いたものと判断されることになる。
 
 重要なのは「サスペンション分離」という欠陥については「具体的、科学的機序」が十分解明されていなくても、この自転車についてはサスペションが分離することは通常ないのであるから、「通常有すべき安全性」を欠いているというのである。
 
 例えばテレビから火が噴いた場合には欠陥テレビであるが、なぜ火が噴いたかという構造上メカニズムまでの立証は必ずしも必要ない。火を噴くテレビは欠陥だと言えば足りるということになる。
 
【輸入業者の責任】
 「当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者」、そのほか製造者として氏名を表示した者についても、製造物責任法は責任を定めている。
 
 製造者はそうかということになるが、加工者についてどこまで責任を認めるか問題が残る。例えば、部品提供した者であるとかは問題になる。
 
   加工者についてはこちら → http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/37446217.html 
   OEMについてはこちら  → http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/36810134.html

 「輸入した者」にも責任が認められる。
 本件ではサイクルヨーロッパジャパン株式会社が被告となって支払を命じられている。この会社はヨーロッパの自転車製造メーカーの日本での販売業務を展開している。こうした場合には製造物責任は認められるのである。