名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.03.17 金曜日

地域クラスターとオープンイノベーション

 経営学の分野ではイノベーションを生み出す一つの方法は,すでに存在する知と知を組み合わせることであるとされているようだ。
 
 To produce other things, or the same things by different method, means to combine these materials and forces differently…. Development in our sense is then defined by the carrying out of new combinations.(Schumpeter 1934 )
 
 他のもの,または同じものを異なる方法で創造することは,これらの素材や能力を違った方法で組み合わせることである。我々が言う開発とは新しい組み合わせをやりとげることだ。(ジョゼフ・シュンペーター 1934)
 
 問題は知識をどこから得るかということになるが,その一つとして地域クラスターが存在する。クラスターというのは産業集積とも言われる。地域クラスターによって特定の分野について「知識」を有する人が集積することによって知識の交換が可能となり,それがイノベーションに発展していく。たとえばシリコンバレーに多くの技術者が集まり,彼らがその範囲で転職していくのも,地域に集積している知識を求めているためだという報告もある。
 
 いずれにしろ地域に知識が集積することがイノベーションに好影響を与えることは間違いなのであるが,実際にどのように機能してイノベーションにつながっているかは明らかではない。その地域に存在する企業は企業独自のネットワークを持っているが,企業同士が近接することで,ネットワーク同士も近接する。あるいは,企業同士をつなげるNGOというような第三セクターが何らかの触媒になっているのかもしれない。
 
 ところで,こうした知識の集積が地域的に行われた場合,イノベーションが生み出されるネットワークには鍵となる組織が存在することが指摘されている。たとえば大学は基礎研究に関する情報があるし,最新の研究に関する情報が存在する。教育された人材が企業に入ることにより,大学の高度な情報が入っていくルことになる。
 
 また,地域の中核企業の存在が,多くのネットワークに対して活性化させる情報を提供し,知的創造の引き金を与えるかもしれない。中核的企業の存在が人材も行きつけ,スター企業として地域に貢献することもある。
 
 こうした地域における地域集積のありかたとイノベーションとの関係は非常におもしろい。私がもっとも注目したいのは,地域の企業ネットワークの中核的な存在となっている銀行やNGOなどの果たす役割だ。私の場合,中小企業家同友会に所属していて,愛知県の場合,企業の相互交流が盛んだ。いろいろな企業があり,なかにはスター企業になりうる企業も多い。この同友会が地域クラスターの欠くべからざる存在として役割を果たすこともあるのではないだろうか。また,弁護士は基本的に知識を売る商売だが,企業連携や企業と研究機関の橋渡しもできる。弁護士もこうした企業間のネットワークから生み出るイノベーションに一定の役割を果たすのではないかと思う。