名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.03.18 土曜日

理由不備を理由に更正処分が取消された事例

 税金裁判で課税庁側が敗訴した事例はやはり痛快な感じがある。
特に,理由不備が理由に取り消されたとなるとさらに痛快な感じがする。
 
 いつも木で鼻をくくるような理由で処分してきた彼らだから,痛い目に遭って欲しいなどと思うのは私だけだろうか。
 
 これは財産法人であるXが県から業務委託料として受け取ったお金を借金の返済に充てていた事例だ。普通に考えたら収益事業の対価として業務委託料をもらっていたということになる。
 
 こに対して当初,課税庁は単なる実費弁済として課税対象とならないという見解だった。これはいわゆる実費弁済通達と呼ばれる通達に従ったというものだった。ところが,課税庁は実費弁済に当たらず,課税されるとしてきたのである。
 
 実費弁済の難しいところは置いておいて,この時の課税庁の更正処分には理由が付記され「法人税第2条第13号に規定する収益事業の収入に該当します。したがって,当該事業年度の所得金額に加算しました。」とのみあっただけだった。
 
 大阪地裁の1審は理由は相当としたが,大阪高裁は「なぜ収益事業の収入に該当するかについての法令等の適用関係や,なぜそのように解釈するのかの判断過程についての記載が一切ない。」
 
 そのため,「本件各付記理由の記載自体からは,処分行政庁が本件各更正処分をするに当たり,そうした法令等の適用関係やその判断過程を経ていることを検証することができない。」とし,「法人税法130条の求める理由付記として不備があるものと意わっざる得ない。」とした(大阪高裁H25.1.18判時2203号25頁)。
 
 最高裁はこれまでにも理由の付記は必要としてきたが,どの程度必要かについて判断基準を示してきた。本件のような青色申告において帳簿書類の記載自体を否認することなく更正処分する場合には更正処分が当該評価判断に至った過程を検証しうる程度に記載する必要があるとしてきた(最判S60.4.23判時1165号93頁)。本件はそれに沿うものである。
 
 なお,青色申告と更正処分との関係には難しい問題がいつもつきまとうが,ここでは省略する。