名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.03.19 日曜日

従業員の不始末と会社の倒産

 経営者としては社員を信頼して活動することは必要不可欠だが,これは社員を管理しないということを意味しない。特に営業担当者に集金も担当させている場合にはいくつか兆候が現れたときにチェックしておかないと大変なことになる場合がある。新進気鋭の伸び盛りの企業ほどチェックが甘くなり。営業担当者の横領など,ああ,あのとき変だ!と思ったときにちゃんとやっとくべきだったと後悔する。
 
 私が経験したいくつかの例を紹介しよう。
 ある事業で大手の腕利きの営業マンを引き抜き,業績を伸ばしていった。彼には一営業所を担当させ,彼は着実に売り上げを伸ばしていった。しかし,途中から徐々に妙なことが起こり始めた。注文に見合う入金の予定が伸びたり,売り上げと仕入れとの対応関係が不明であったりしていったのである。あるとき,顧客から注文し,料金を払ったが商品が来ないという苦情が出始めたのをきっかけて,この社員が顧客の売り上げを着服していたことがわかった。この社員は着服したお金をすべて遊興に当てていた。
 
 あるリフォーム業では創業直後業績を伸ばしたのであるが,キャッシュフローがうまくいっていなかった。社長は営業拡大に忙しく,営業マンの管理を怠っていた。あるとき,他の社員からこの営業マンが会社の名前で受注し,会社を通さずに外注に出していて利益を着服していることがわかった。社員は逃げてしまい,顧客からお金を渡しているにもかかわらず仕事ができていないという苦情が殺到した。
 
 あるIT系の会社では,ソフトウェアの開発を部下に任せていたのであるが,うまく進捗しているというがなかなかできない。社長は営業活動が中心で,ソフトウェア開発について具体的に管理していなかった。ところが,この部下はうつ病にかかり,仕事ができない状態だったのだが,できないといえずごまかしていた。おかげで,ソフトウェアが納期にまにあわずその対応のために次の仕事も引き受けられず,会社は倒産の危機に陥った。
 
 こうした例は,けっこう多い。特に起業間もない会社の場合,事業拡大のために資金を投入しており,めいっぱい活動しているため,わずかなキャッシュのつまづきが倒産につながる。上記の例でも,何かおかしいという兆候があるはずだ。どうして,こいつに限って客の支払いが先送りになるのだろう。何度言っても,顧客が引き延ばしてくるとか言って顧客のせいにしているとか,何か自分が原因でない理由を言い訳することが多い。
 
 こうした,変だと思った瞬間にとことん問題点を追求する感性を社長を持たなければならない。もちろん,財政はきちんとしておき,毎月の状況を正確に把握しておく必要がある。自分は財務諸表はわからないというのが論外だ。