名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.03.21 火曜日

親族型事業承継で必要な法律知識

 事業承継には親族承継型,従業員承継型,M&Aの3つがある。信託もあるがまれだと思う。その中で親族承継型にはどのような知識が必要だろうか。
 
 親族承継型は基本的には生前の株式譲渡を基準にしながら,遺言によって死亡時に残った財産を処理するということになる。生前の譲渡は売買か贈与ということになるが,基本的には節税対策のスキームによることになる。
 
 ある本によると相続型事業承継対策について次のように項目を立てている。
  ① 節税対策
    節税対策というのは暦年贈与,相続時精算課税などの制度を活用したり,相続時の小規模宅地の評価減などがある。節税対策はたくさんの方法があって何が適切かは,詳しい税理士に相談しないとわからなくなる。
  ② もめない対策
    これは,相続争いを防ぐと考えられがちであるが,むしろ,争いが生じたとしても戦う方法があるようにするという発想で組み立てることになる。最も重要なのは遺留分の対策ということになる。
  ③ 納税対策
    財産がある以上,どうしても納税の問題は避けて通れない。そのため生命保険などを使って何らかの資金を用意することになる。
 
 法律家の立場からすれば,もめない対策を担うことになる。
 この場合の相続対策の原則は売買,贈与,遺言によって株式を承継人にきちんと移動できるようにするになる。
 
 この場合,遺留分対策を行っておくことが必要だ。遺留分というのは生前贈与や遺言によって後継者に株を移転したとしても,相続人から遺留分減殺請求と言って,一部の相続分(妻,子の場合は2分の1,直系尊属の場合は3分の1)を取り戻す制度を言う。がある。
 
 たとえば,子供2人がいる場合に,長男に全財産を譲るとした遺言を残したとしても,次男には4分の1を取り戻す権利がある。株式全部ではなく,社長の相続分の4分の1を請求できる。
 
 売買,贈与,遺言の3つに加えていくつかのバリエーションを考えることになる。これらのバリエーションではかなり技巧的になるので法律家の役割も重要となる。
 
 ① 社長が途中退場して,何らかの方法で退職金を取得したいと思う場合。
 ② 社長の支配権を残しつつ,長男を社長とし,徐々にリタイアする場合。
 ③ 後継者がまだ若く,中継ぎに従業員を社長とするような場合。