名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.03.23 木曜日

認知症老人との養子縁組

 相続対策のために養子縁組なども活用することは多い。節税などを目的に長男の嫁,孫と養子縁組をしたりする。事業承継の大部分は相続問題で有り,養子縁組もよく活用される。

 この縁組み,認知症の老人が養子縁組しても無効となることある。
 民法では802条が「縁組みする意思がないとき」養子縁組を無効としている。認知症で本人の意思がはっきりしなければ養子縁組は無効となる。

 しかし,どんな場合が無効になるかについては難しい問題がある。一口に高齢者と言ってもいろいろある。

 最近,認知症の高齢者の養子縁組を1審は無効,2審は有効とする判決が出た(広島高裁H25.5.9判時2250号19頁)。

 問題の老人は認知症が有り,短期記憶障害があり,自分の意思の伝達能力について伝えられない,「幻視・幻聴,妄想,昼夜逆転行動,徘徊」があり,記銘力障害,うつ状態があった。

 これだけ並べられると,本気で養子縁組したかどうか疑いたくなる。

 しかし,広島高裁は次の点などをみて養子縁組を有効とした。

 本人はレクレーションに参加したり,よその人と会話したり,計算問題ができたりした。自分の年齢や生年月日も言えた。主治医も意思能力があるという意見書を出している。税理士という専門家の前でよろしくお願いしますと頼んでいた。日常生活についても一定の行動はできていた。

 養子縁組が有効となるかどうかについては次の点から考えられているのではないだろうか。
 ① 養子縁組するにいたった動機に不自然さはないか。
 ② 介護施設での生活に問題は無いか。とりわけ介護者との意思疎通はできるか。
 ③ 問題行動はあったか。
 ④ 署名に専門家が関与しているか。
 ⑤ 主治医がどのように判断したか。
 ⑥ 第三者に相談していたか。