名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.03.27 月曜日

雇われ社長の処遇

 事業承継にあたって,オーナー以外の者,たとえば子飼いの社員を社長に据えることがある。この場合,新社長の処遇は非常に難しい。創業者である会長が生きているうちはよいが,影響力がなくなると統制がとれなくなることがある。
 
 この場合の検討事項はいくつかある。
 ①新社長の地位の安定化をどうするか。オーナー側である創業者一族にどれだけ権限を残すか。②新社長の待遇をどうするか。
 
 このうち新社長の待遇はそれほど良くしてはいけないというのが私の考えだ。
 中小企業の場合,創業者である旧社長はなんでも自分で決めることができた。自分の責任で事業を大きくしたのであるから,待遇も自分理想どおりに決めてきたし,責任を引き受けてきたのであるからそれでよかった。
 
 もっとも大きな違いは,創業者は会社を子供のように思い,めちゃくちゃな利益を吸収しようということに抑制が働く傾向にある。何千万円かの退職金をとったとしても,会社の利益の範囲を考慮しており会社をつぶすようなまねをしない。
 
 しかし,新社長はサラリーマンの延長線上にある。前のオーナーと同じように会社をかわいがるかと言えばそうとはいえない。オーナー家との緊張関係も存在する。たとえば,前の社長と同じように多額の退職金,たとえば5000万円というような金額を決めたりすると,実際に退職するときにとても苦労する。
 
 前の社長が引退するときはそれでよかったが,会社の業績は常にいいとは限らない。中継ぎの社長に好待遇を約束したばかりに会社が倒産したなんてことも私は経験がある。
 
 もちろん,逆もある。
 新社長は,数千万,時には億単位の借金の連帯保証を引き受ける。それまで,サラリーマンをしていて,2000万円の住宅ローンを一生かけて支払うというような世界に生きてきた者が,いきなり数千万円の借金を背負うとなるとかなりの決意だ。
 
 こうした,新社長について,新社長になっただけのメリットを与えなければならない。
 私の感覚では役員報酬については,当初増額の範囲は年収の1.5倍程度にし,徐々に2倍から3倍程度の報酬でよいのではないかと思う。
 
 退職金についても,相応の基準があり,かつ,業績によってはそれを支給しないことができるようにした方がよいかと思う。あるいは,持ち株を与え,退職時に相応の値段で会社が買い取るという方式もよいかもしれない。
 
 新社長のもと業績が伸びていけば,退職金をはずむに越したことはない。