名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.03.28 火曜日

グローバル・バリュー・チェーン(GVC, Global Value Chain)

グローバル・バリュー・チェーンは国境を越えた機能的な分業を言う。製造業などでは生産工程が分業化されているが,その分業が国際規模で行われている。国内でも自動車産業などメーカーは様々な工程を分業化し,自社で作ったり,下請けに出したりして組み立てている。

 
 製品企画,設計・デザイン,原材料の調達,部品の生産・加工,組立,マーケティング・販売・アフターサービスなどチェーンのように繋がって営まれている。こようなバリューチェーンが国際的な広がりをもっているのが今日の状況だと言える。
 
 このような傾向は1990年代から盛んになり,アジア圏の経済進展によって複雑化しているように思える。特に中国や韓国,タイやインドネシアと言った,アジア国内でも比較的成功したように見える国々における企業,とりわけ中小企業がどのような形でGVCに参加しているのだろうか。あるいは,グローバリゼーションの渦中にある日本の中小企業は生き残りをかけてどのように,このGVCに参入しているのだろうか。
 
 中国は改革開放政策を選択し,さらにWTOに加入して大きく変化してきた。当初は安い労働力を売り物に外資を呼び込み,「世界の工場」として大きな発展を得てきた。中国の巨大経済は日本の経済力を抜くほどになっている。
 
 現在,中国は格差の是正,人件費や社会保障費用の高騰から新たな局面を迎えている。それはかつてのように安い人件費を武器にした経済発展とは別の道を選択することを余儀なくされているように見える。
 
 そして,私の問題意識は中国企業が実際にどれほどの技術力を身につけてきているかという点だ。外資に依存して大きく発展してきた中国だが,現実の問題としてサプライチェーンを支える裾野,つまり中小企業の発展はあるのだろうか。あるいは,中国国内のローカル企業は国際的な分業の中で一定の役割を果たしつつあるのだろうか。
 
 中国の経済にかかわるいくつかの文献や私の実感を重ね合わせると,中国企業の技術力はまだまだだ。このことは中国経済をささえる中国のサプライチェーンが不十分であることを意味するように思える。つまり,中国国内での企業,とりわけ中小企業の裾野があまりに貧弱であるために,中国国内企業が連携しなんらかのイノベーションを果たそうとしてもそれができない状況が依然続いているということではないかと思っている。
 
 つまり,中国の経済発展の結果,中国にもたらされている経済の構造はサプライチェーンの各単位を担う優秀な中小企業が不十分な点で依然不健全な状態ではないだろうか。外資のすぐれた技術の呼び込みはそのまま自国の技術の向上に単純には結びついていない状況にあるような気がする。
 
 このような中国経済の到達点が真実であるなら,日本の中小企業の出番はかなりあるように思う。技術的に優位に立つ日本の中小企業は,技術ばかりでなくサプライチェーンのマネジメントの能力についても優位に立っている。このマネジメント能力の優位性を武器にグローバルバリューチェーンの一角に有力なニッチを獲得することが大切なことだ。