名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.04.05 水曜日

仲裁契約って聞いたことがありますか。

仲裁契約というのは第三者による判断に従うという契約を言う。仲裁に関する手続きは仲裁法という法律がある。国際取引では仲裁契約はしばしば登場する。特に中国では裁判所よりも仲裁機関の方が信頼が厚かったりする。

 
 工事代金などを巡る紛争で,建築業法よる建築工事紛争審査会というのが利用されることがある。建築紛争は専門性が高い上にもかかわらず専門家を探すのが難しいので,こうした機関が建築業法によって定められている。
 
 私も何度か利用したことがあるが,そんなに悪い制度でもない。一般の消費者にとっては専門家を利用できる点でメリットがある。業者にとっても細かい論争について審査会がある程度代弁したりしてくれるのでメリットがある。
 
 ところで,建物や工場などの建築請負契約には,定型的な分厚い約款が添付されていることがある。その中に仲裁条項がよく入っていて,次のように定められている。
 
「甲又は乙は,前条のあっせん又は調停により紛争を解決する見込みがないと認めたときは,甲乙双方の合意に基づいて審査会に仲裁に付し,その仲裁判断に服する」
 
 この契約条項は仲裁契約を定めたものだとすれば,仲裁手続きのみによって解決するということになる。当事者は仲裁手続き,つまり第三者の判断にゆだねるということになる。この場合は裁判はできない。
 
 しかし,「当事者の合意に基づいて審査会に仲裁に付し」というのだから,合意がなければ仲裁手続きを利用することはできない。当然,仲裁のみの判断による,つまり裁判はできないという訳ではない。
 
 当たり前と言えば当たり前だが,なんと,横浜地裁は仲裁合意を認めて裁判を却下してしまった。もちろん,これは東京高裁で取り消された(東京高裁H25.7.10判タ1394,200頁)。
 
 弁護士としてこうした仲裁契約にかかわる場合にはこうした判例にも目配せして,日頃から契約条項の訓練を怠らないことだ。