名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.04.07 金曜日

フランチャイズ契約と競業避止義務

 フランチャイズ契約から離脱した後に同種の事業を続けて良いか問題になる。フランチャイズと提供する側からすれば,続けて事業を行うことを禁じることで,その地域のシェアを維持することもできる。提供される側のフランチャイズ契約から離脱することを難しくすることもできる。
 
 私たちはこうした問題を「競業避止義務」という呼び方で検討している。セブンイレブンとか,ロイヤルホストとかいった大手であればこうした問題は十分検討しているが,小さな会社の場合,競業避止義務はかなりいい加減なことが多い。
 
 小さな会社は実際にはフランチャイズにすることの意味が小さい。そのため,離脱も生じやすい。離脱が生じやすいだけに協業業避止義務を強化している。私の目から見ると,かなりひどい拘束をしている例も存在する。
 
 一般に個人には職業選択の自由がある。そのためこうした競業避止義務について裁判所は慎重な傾向にある。時には余りに制約がすぎるために契約そのものを無効にしてしまう例もある。また,契約があるにしても,限定的に解釈して競業避止義務を否定する。
 
 たとえば,次の例がある。ヒューマンエヌディ株式会社は子供向けロボット教室でのフランチャイズを展開していた。あるフランチャイジーが離脱した後に競業避止義務違反を理由に事業の差し止めを求めて提訴した。
 
 東京地方裁判所はこうした点からフランチャイズ契約における競業避止義務を限定している。この事例は子供向けロボット教室のフランチャイズ契約にかかわるものだが,フランチャイジーが独立して別にロボット教室を開いた事例だ(判時2209,118頁)。
 
 東京地裁は被告がフランチャイズ加入前からロボット教室を営んでいたことを重視し,「新たに」教室を開催した者ではないとして競業避止義務を否定した。つまり,フランチャイズ契約前からの教室を再開したに過ぎないから,フランチャイズ契約が予定した新たな事業ではないというのだ。
 
 また,「原告のヒューマンキッズ講座で用いられていた特徴的な指導法を現に利用している等の事業があれば格別,・・・・被告が原告から提供を受けたノウハウを利用してロボベースラボを開講しているという事実を推認することはできない。」とした。
 
 本件の競業禁止条項は禁止期間を1年と定めているもののおよそ理科教室を禁止するという広範な禁止を定めている。裁判所にはやりすぎだろうという感覚があったのだろうと思う。
 
※ なお,本件は限定会社の事例だが競業避止義務は公序良俗違反が問題となったじれいもある。
  東京地裁H21.3.9判時2037・35
  東京地裁H21.11.18判タ1326・224
  大阪地裁H22.1.25判時2080・46
  大阪地裁H22.5.12判時2090・50
  東京地裁H22.10.27判時2015・136