名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.04.27 木曜日

元社員が顧客情報を盗み不正利用した事例(№2)

 (前号  より続く  http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/38580827.html  )
 
 顧客情報を盗んだ社員とそれを利用した会社の責任に関する大阪地裁の判例を紹介している(大阪地裁H254.11判時94頁)。
 
【データを盗んだことの立証】
 私たちがこうした事例を扱う場合,データを盗んだこと自体を立証することが難しい。電子データは「物」ではないことから目に見えないからだ。営業秘密を盗む行為は不正競争防止法で禁じられているが,実際に盗んだところまでいかないと難しい。
 
 私たちがこうした問題にとりくむときは,不正アクセス防止法がまず利用できないか考える。これはデータを盗んだかどうかは要件でない。他人のパスワードを利用したりして不正にアクセスするだけで罰せられる。これを利用してまず警察の捜査が入り,そこからデータを盗んだかどうかをつきとめていくという手法だ。
 
   詳しくはこちら → http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/37056681.html

 紹介の裁判例では,退職の直前のアクセス回数の変化を根拠に元従業員に不正なデータ入手があったとしている。通常は月100回強であったのが,やめる直前になると200回を超えるアクセス回数となった。しかも,1日の間にも異常な回数アクセスしている。
 
 これは「1回辺りのアクセスで入手できる情報が制限されているところ」「顧客情報を持ち出すためにアクセス回数を増加させた」と認定している。
 
 また,この事例では辞めた従業員のうち,何人かが不正に情報を持ち出したと証言している。通常,こうした場合,虚偽の証言をすることが多く,こうした不正の事実を法廷で引き出すことは難しい。私としてはどうやって証言を引き出していったかが気になる。
 
 もちろん,不正な情報を利用した被告会社役員は不正の事実を否定している。しかし,裁判では被告会社の事業の経過を詳細に認定して盗んだデータを利用して新事業を開始したと認定した。
 
  → 続く