名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.04.12 水曜日

中国,合弁企業における利益確保

 「ビジネス法務」2014年4月号に中国合弁企業にマイノリティ出資者の拒否権という記事があった。近時,日中間では企業連携の動きが盛んになっていることからこの記事はタイムリーではないだろうか。
 
 尖閣諸島問題によって,中国が政治優先社会であることがあらためて印象づけられた。中国進出企業の法的防衛は必要なことだ認識した企業は少なくない。また,中国人件費の上昇は中国経済のあり方そのものを変えようとしている。中国市場はそれなりに拡大し,中国ローカル企業の技術力も向上していくことだろう。中国企業の余った資金は海外資産,海外企業に投資されている。
 
 こうした中国情勢下で,中国への投資は再び活発化しているように思われる。特徴的なのは合弁企業が見直される動きだ。中小企業分野では独資企業が半ば常識的だった。しかし,企業連携の一つとして合弁企業も検討されるようになっているように思われる。
 
 この場合,中国側はもっぱら資金や中国国内での流通(市場)を提供し,日本側は「技術」,「ノウハウ」,「顧客」を提供することになる。日本側の提供するものは盗まれやすく,相手方が取得してしまえば用なしとなってしまう可能性がある。こうした問題についてどこで歯止めをかけるかについては,中外合弁企業におけるマイノリティ出資者の利益の確保の問題として取り扱われることになる。
 
 中外合弁企業の最高意思決定機関は董事会だ。中外合弁企業では株主総会などはない。董事は合弁契約もしくは定款で確定し,合弁当事者が任命する。従って,董事会でどのようなイニシアティブがとれるかが中国合弁企業で自社の利益を守る上で重要な課題となる。
 
 董事会でのマイノリティ出資者のイニシアティブは董事会決議に対する拒否権,つまり全一致決議事項をどのように作り上げていくかというのが上記記事の問題意識だ。記事では法定の全一致事項に加えて,出資契約によって拘束してく手法を紹介している。
 
「年間の経営計画や予算・決算の承認,さらに利益配当や欠損填補に関する事項等,」について拒否権というのも考えられる。
「原材料の仕入先や商品の販売先の決定(一定金額以上や新規の契約の締結承認),設備投資,商品の品質管理(基準の設定)に関する事項,技術・ノウハウ等の管理関する事項等について,任意の全員一致事項とすることが考えられる。」
 
 こうした契約がどこまで拘束力を持つかは検討を要することだが,いざというときに法的戦えるようにしておくことは必要なことだ。