名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.05.10 水曜日

販売提携契約での市場をめぐる攻防点

 自社特許や特殊技術をもって製造する商品を,他の企業に販売させることは普通に見受けられる。
 こうしたタイプの業務提携ではたとえば,市場や商流をめぐってこんなことが法務上やりとりされる。
 
【1】 製品販売権の範囲
 製造者(A社)は独占的な販売権を取得したいと考えることがある。これに対して,販売者(B社)は他の事業者に売却できる利益を確保したいと考えるかも知れない。最近のようにインターネットが発達すると製造元が直接消費者に販売できることもありうる。
 
 一定の範囲で独占的な販売権を与える場合には一方で最低購入量を負担させかどうかも検討課題となる。
 
 特許や著作権などA社がそのライセンスを獲得している場合,知的財産の範囲で利用範囲が限られていることもある。例えば、B社が海外に販売する場合には、A社が獲得したライセンスが海外に及ばない場合がある。こうした限定にも要注意だ。
 
【2】 広告宣伝など
 広告宣伝は原則B社において行うことになるだろう。しかし,A社の製品を広告宣伝する場合には,A社の信用の拡大というA社の固有の利益も生み出す効果もある。その限りではA社に広告宣伝費について費用負担を求める根拠がある。
 
 宣伝内容についても,A社に専門性があるのでA社の責任において作成してもらうということありうる。その場合,宣伝内容,つまり対外的に宣伝された性能が確保されるようA社に責任をとってもらう契約条項も検討することになる。
 
【3】 B社の報告義務
 商品の販売範囲,顧客層,顧客の評価,在庫量,販売量などA社としては消費者の動向を知りたいと思うかもしれない。しかし,あまり細かい報告はB社にとって大きな事務上の負担が起こる。また,販売上のノウハウをA社に渡すことになり好ましくないと思うかも知れない。
 
 そうなると、契約上の開示義務をどうするかについては契約締結時にいろいろなつばぜり合いをして調整することになる。