名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.05.15 月曜日

下請法「買いたたきの禁止」

 下請法は下請代金支払遅延防止法という名前だ。大きな企業がその力を笠に着て下請け業者に不利益を与えることを禁じている。独占禁止法では「優越的地位の濫用」を禁じている。下請法はこの「優越的地位の濫用」を下請け関係に当てはめたものだ。親事業者に逆らうことは中々難しいが実務ではこの下請法、意外に役立つことがある。
 
 その中で「買いたたき」の禁止というのがある(4条1号5号)。
 これは「一方的に通常の対価より低い単価で下請代金の額を定めること。」を言う。
 
 法律の条文では「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。」となっている。
 
 この「買いたたき」に該当する場合には公正取引委員会が是正の勧告などを実施することになっている。下請け業者では中々抵抗することはできないが,この公取の介入は実務的には意外に役立つので使ってみる価値はある。
 
 もちろん,下請業者といえども自由競争の中で商売するのであるから,単価が安いというだけではすぐに「買いたたき」になるかは難しい問題がある。
 
  条文が要求する「通常支払われる対価」とは同種又は類似の級の内容について実際に行われている取引の価格(市価)と言われている。市価の判断が難しい場合には,これまでの取引価格が参考にされる。これに比較して低額であるかは次の事情を考慮する。
  ■ 代金決定にあたり十分な協議が行われたか。
  ■ 差別的な価格であるか。
  ■ 市価と実際の給付額との乖離状況
  ■ 当該級に必要な原材料の価格の動向
 
【具体例】
  ■ 大量発注を前提として単価の見積もりを出させ,実際には少量の発注だった場合
  ■ 見積もり段階より発注量が増えたにもかかわらず代金の見直しが無い場合
  ■ 一律に一定比率の単価の引き下げを求める場合
  ■ 親事業の予算単価のみを基準として,一方的に市価より安い単価で額を定めること
  ■ 同種の給付なのに特別な顧客,特別な地域だという理由で安い単価を求める場合
  ■ 原材料の大幅な高騰にもかかわらず価格を据え置く場合
  ■ 発注内容に応じるため下請業者が品質改良等に伴う研究開発費が増加したにもかかわらず通常支払われる価格より低い対価を定めるような場合 
 
 買いたたきが勧告された事例はこちら
  →  http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h26/jul/140715.html