名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.05.15 月曜日

監査役の役割

 株式会社には監査役が置かれることが通常だ。最近の中小企業は組織を簡略化するために監査役も置かない例が増えているが,私の感覚からすると少数派だ。
 
 代表取締役が手形などを乱発して会社の財産を危うくした場合には,他の取締役にも監視義務違反が問われる。監査役も同様に会社に対し監査する注意義務がある。会社法381条1項は「監査役は、取締役・・・の職務の執行を監査する。」となっている。
 
 大企業の場合,代表取締役が勝手な振る舞いをしないよう監視体制を作っている例が多い。取締役会をきちんと開催することはもちろん,内部監査室とか,金庫管理規定といった規則とか,コンプライアンスに関わる体制を組んでいる。
 
 もし,こうした体制が無い場合には監査役は監視体制が欠如していることを取締役会に警告する必要がある。また,せっかく監視体制ができていてもその運用が誤っているようであれば,運用の誤りを指摘する必要がある。
 
 もし,監査役が社内の体制やコンプライアンスの欠如を見逃しているようだと,監査役の責任が問われることもありえる(大阪地裁H25.12.26判時2220号109頁)。
 
 たとえば,いわゆる「雇われ社長」が勝手に他社の債務の連帯保証をしたり,あるいは会社の財産を横領していたような場合,雇われ社長に対しては刑事告訴なども含めて法的責任を追及することになる。しかし,それだけでは会社の損失は回復できない場合がある。
 
 こういう場合には,たとえば監査役や取締役個人に対して,監視義務違反を理由に責任追求という手段も検討課題になる。
 
 なお,監査役の場合,契約によって責任を軽減できる(会社法)427条1項)この場合,重大な過失があったり,故意に見逃していたような事情がある場合には軽減契約では軽減されない。