名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.05.22 月曜日

外回り,外勤務の「みなし労働時間」

 みなし労働時間というのは,実際の働いた時間にかかわらず,あらかじめ定めておいた労働時間とみなすという制度だ。時間管理が難しい職種について,適用される。
 
 使用者は本来働いた分だけ賃金を支払う義務があるが,この制度が適用されるとともかく決められた時間分だけ払えば良いので時間管理が楽になる。一方,残業を加重に強いる職場では実質「サービス残業」の温床ともなる。
 
 労働基準法において定められたみなし労働時間制は、以下の3種類である。
  ■ 事業場外労働(第38条の2)
  ■ 専門業務型裁量労働制(第38条の3)
  ■ 企画業務型裁量労働制(第38条の4)
 
 「みなし残業」は判断が難しい。この制度を利用している会社は就業規則,労働者の管理のあり方をきちんと社労士などに相談しておかないと思わぬ損をしてしまう。
 
 たとえば,事業場外労働については,「労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。」となって,「労働時間を算定しがたいとき」でないと,みなし労働時間制度を利用できない。
 
 最近の最高裁の判例で次のような例がある。
 事案は旅行会社の例だが,労働者は海外ツアーの添乗員だった。海外でのツアーに付き添い,空港では集合一時間前におもむき,きめられたスケジュール通りに動かなければならなかった。ツアー客が食事を開始した時間,終わった時間などの報告も必要だった。携帯電話をいつも所持し,スイッチをオンにしておくことが義務づけられた。
 
 こうした事情下で,最高裁「労働時間を算定し難いとき」に該当しないとして「みなし労働時間」制度を否定した。当然,敗訴した会社は未払い残業を支払わなければならない。
 
 最高裁の判断は次の通りだ。
「業務の性質,内容やその遂行の態様,状況等,本件会社と添乗員との間の業務に関する指示及び報告の方法,内容やその実施の態様,状況等に鑑みると,本件添乗業務については,これに従事する添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認めがたく」「労働時間を算定し難いとき」には当たらないとした(最判26.1.24判時2220号126頁)。