名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.05.22 月曜日

負債が億を超え,売上を超えてしまった

 負債が億をこえ,さらに売上額に迫っているような会社も珍しくない。長い会社の歴史の中で徐々に借金が拡大していき,もはや返せないところまで来てしまっている。一方で会社の業績は比較的順調なので,倒産せず今日まで来ているというような状態だ。
 
 こうした会社の場合,経理担当者は毎月のやりくりが大変だ。資金ショート回避のためのやりくりは心臓が止まる思いだろう。会社としてはどこかで結着をつけなければいけないかも知れない。
 
 こうした会社をどのように考えたら良いだろうか。
 
 まず,重要なのは会社が今日まで続いていることだ。
 多額の借金があるにもかかわらず会社が継続していることは,売上がかなり安定している,つまり,借金を返済できるだけの利益が存在していることを意味する。こうした問題に取り組むときには私たちはまずこの点に注目する。借金を切り捨て,新会社に移行するような場合,この利益が維持できるかどうかが重要な点となる。
 
 負債が長期化して返済していない,返済できないとなると,この借金は「投資」とほとんど意味が同じになってしまう。特定の会社に投資して株式が配当されるのだが,それと同じだということだ。
 
 株式は議決権があってもきちんと行使されることは少ない。そうなると,定期的に配当がある株式と,元金が返済されないまま利息だけ払う借金とはほとんど同じような意味になってしまう。借金の大きい会社は銀行が筆頭株主であるというような考え方もできる。
 
 こうした考え方は残念ながら気休めでしかない。
 借金はどこかで結着をつけなければならなし,どこかで結着つけさせられてしまう。
 
 たとえば,リスケ。リスケは倒産の序奏曲のようなところがある。事業計画通り業績が回復できない場合は,銀行に対して新規融資は断るという口実を与える。次の運営資金を用意できなければ会社は倒産となる。いったんはリスケでしのいでもどこかでリスケだけは回復しておく必要がある。
 
 生き残りをかけて,別会社の設立,もしくはM&Aによる借金の切り捨てという方法で結着をつけることがある。
 IT関係のように工場や機械など特別な資本が不要な業種は意外に簡単にこれをやることができる。しかし,製造業の場合は工場や機械がある上,従業員も多いので非常に難しい。
 
 私の経験では,無傷の後継者(連帯保証などとられていないか,比較的少額であるような場合)がいるうちに先を見越した長い時間かけた準備が必要だ。また,一つ間違えば企業の信用を一気に失ってしまうので,社長としても相当の覚悟が必要となる。