名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.05.29 月曜日

事業場外みなし労働時間の神話

 みなし労働時間というのは,実際の働いた時間にかかわらず,あらかじめ定めておいた労働時間とみなすという制度だ。時間管理が難しい職種について,適用される。
 
 労働基準法において定められたみなし労働時間制は、以下の3種類である。
  ■ 事業場外労働(第38条の2)
  ■ 専門業務型裁量労働制(第38条の3)
  ■ 企画業務型裁量労働制(第38条の4)
 
 このうち,事業上労働時間外「みなし残業」は判断が難しい。いくつかの神話が横行している。時間管理が難しい業務かどうか,「労働時間を算定し難いとき」に該当するかどうかが問題となる。
 
【指揮命令関係になければ「みなし」が使える】
  旧労働省の通達では事業場外で業務に従事し「使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務であること」というような場合に使えるかのような通達がある(昭和63年1月1日付け基発1号)。
 
  しかし,時間管理ができるかどうかと,指揮命令関係が及ぶかという問題とは別問題だ。指揮命令関係が強固であれば時間管理もやりやすいということはあるが,ゆるやかであっても時間管理が可能な場合がある。
 
  実際,最高裁は旅行会社の海外添乗員について,「みなし」の適用を否定した。
 
【携帯電話があるので「みなし」は使えない】
 最近は携帯電話などで労働者が管理されることが多い。携帯で管理されるというのは重要な要素ではある。しかし,携帯電話だけのことで,「みなし」が使えないということはない。携帯を持たせているか,持っているかは考慮要素の一つでしかない。
 
 実際,前期最高裁判所は,「みなし」を否定したのではあるが,携帯電話だけで認定したわけではない。具体的な事業の状況を個々に認定して決めている。
 
 携帯電話=みなしの否定
 というのも神話の一つだ。