名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.06.12 月曜日

多額の賠償請求を回避するための契約条項

 顧客との請負契約や製造販売契約を締結する場合,責任制限条項というものをつけることがある。これはわずかな利益で多額の賠償を負わされたのではかなわないという考えからだ。
 
 たとえば,IT関係の場合,システムの不具合によっては多額の損害をもたらすことがある。たとえば,生産ラインの制御がうまくいかないとか,あるいはPOSシステムがうまく作動しなくて混乱するとかいろいろありうる。
 
 派遣労働契約が締結される場合,派遣労働者がミスを犯して大きな損害をもたらしたような場合もある。製造業の分野でも,ねじとかバネとか比較的小さな部品を供給する場合に,それが原因で自動車とかエレベーターに欠陥が生じてしまったら大変な損害になってしまう。
 
 ともかく,世の中の取引については,代価が比較的小さいにもかかわらず,間違いが生じた場合には多額な損害が生じることがあって,どこかで責任を制限したくなる。これが責任制限条項だ。
 
 次のような条項はよく見かける。
 
「前項の場合(損害賠償の場合),乙は個別契約に定める契約の範囲内において損害賠償を支払うものとする。」
 
 この責任制限条項だが,常に適用される訳ではない。請負人など債務不履行側に故意もしくは重過失(重大な過失)あるときは適用が排除されるというのが衡平であるとされている(東京地裁H26.1.23判時2221号71頁)。この故意または重過失,会社の故意,重過失だけでなく,たとえば従業員に故意,重過失がある場合にも適用が排除される。