名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.06.26 月曜日

従業員によるお客さんへの密告

 社内の不正を外部に密告されるような場合がある。会社の企業文化が不十分で社員に忠誠心が少なかったりする場合や,会社に逆恨みして腹いせに会社に復讐するために会社の不正を親会社など取引先に密告する場合がある。
 
 たとえば,公共工事などで特定のプロセスを行っていないような場合,あるいは品質維持のために実施するべきプロセスを省略していたような場合,それを親事業者などに密告されてしまったような場合,会社はどうしたらいいだろうか。
 
 本来,社内の不正は社内で処理するべきと言う考え方がある。会社内できちんと指摘すればよいものを,会社を陥れるために直接お客さんに伝えていくというのは社員としては失格だ。しかし,会社がそれまで聞き入れる姿勢を見せなかったよう場合,そして,そうした不正が人の生命や身体の安全にかかわるような場合にはこうした密告は許されるように思う。
 
 会社としては率直に事実を認め,傷口が広がらないよう直ちに改善の体制に入ることになる。関係方面からの損害賠償請求があり得るが,顧問弁護士を交えてその可能性,範囲や限界など会社防衛の方策を直ちにとることになる。顧問弁護士は常に最悪の場合をいくつか想定して,それでも会社の被害を最小限に食い止めるための手を打っていく。
 
 密告した社員については,残念ながら誰がそのようなことを検討せざる得ない。もちろん,会社が正しくあれという会社や社会に対する忠誠心から出た行動であれば,社員の責任を津窮するべきではない。追及するべきはそれを放置してきた経営陣だろう。
 
 しかし,特に会社に恨みがあって密告するような場合,この社員に対しては厳しい姿勢で臨むのを原則とすることになるだろう。これは,けっこう難しい作業で,やはりこの社員の基本的問題点を整理することになる。
 
 職場での勤務態度,他の従業員との関係,上司に対する対応といった問題がある。また,密告の内容も著しい誇張があったり,うそがあったりすることがある。そのような場合は解雇も含めて検討することになる。