名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.07.24 月曜日

未完成請負の場合の報酬

 請負というのは仕事の完成に対して対価を支払う契約である(民法632条)。
 
 この「仕事」というのがいろいろあって,運送,製造,建築といろいろある。弁護士との契約は委任契約といって,事務に対して対価を支払うという契約になっている。どこが違うかというと,請負がある意味結果を保証するものだし,委任は仕事はするが結果を保証しない。
 
 請負の報酬は一般的には仕事が完成してその後に支払うことになっている。仕事完成までに時間を要する場合には手付金とか,中間金とか言った請負代金の一部前払いが行われる。
 
 問題は仕事が完成しない場合だ。
 厳密に言うと,請負は仕事完成に対して対価が支払われるのであるから仕事が完成しないと対価が支払われない。しかし,せっかくここまでやってきたのだから,出来高だけでも支払って欲しいというのが人情だろう。
 
 最高裁は既に実施した仕事が可分であり,かつ,実施した仕事について注文者が利益を得ている場合は出来高に応じて支払い義務があるとしている(最判S56.2.17.判時996号61頁)。
 
 さらに,完成しなかったのは注文者に責任がある場合については,請負代金もしくは請負によって得られたであろう利益を請求できることになるだろう。
 
 たとえば,注文者が材料を提供するような事業で,注文者がそれを怠ったような場合がそうだろう。また,ソフトウェア開発で注文者が突然情報提供をしなくなってしまったような場合がそうだろう。
 
 IT業界は「請負契約」で成り立っていることが多いが,開発者と注文者との意図があわないことが少なくなく,そのために契約が突注で止まってしまうことはめずらしくない。こうした場合,未完成請負についての代金請求というのはかなり深刻な問題となる。