名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.08.14 月曜日

マーケットシグナルで遊ぶ

 マイケル・ポーターはマーケットシグナルについて述べている。
 「マーケットシグナルは,企業の意図,動機,目標,もしくは社内状況の直接・間接に示す行動を言う。」と定義し,企業が発するマーケットシグナルの分析手法を述べている。
 
 特定の企業が何か記者会見したり,インタビューに応えたり,広告を大々的に打ち出したりする。あるいは,展示会たとえばモーターショーでの動きなども重大なマーケットシグナルだ。企業家たるもの,いつもマーケットシグナルに目を光らせて業界の動きや,ライバル社の動きに目配せすることは当然と言えば当然のことだろう。
 
 ポーターはこのマーケットシグナルについていくつかの意味があるという。たとえば,大衆的に発表することで事業展開の不退転の決意を述べる場合もある。他社に先んじて新製品を発表して機先を制する手法もあるだろう。うとは言わないが実行可能性の薄い情報を流して相手の出方を見るというやり方もある。
 
 ポーターのこの部分を読んでいると,頭に浮かぶのは「孫子」だ。
 孫子は「兵とは危道なり」ということで,敵に向けて情報をいろいろな形で流し,時には偽りの状態を演出して戦いに勝利すると言っている。いろいろなシグナルが戦いの場では出されているからその虚実の駆け引きが大事だという。
 
 しかし,マーケットシグナルの分析はどれくらい大切なことなのだろうか。
 
 ポーターは「マーケットシグナルの探知はお遊びか」という問題提起を行い,「たしかに,トップマネジメントがシグナルの意味の解釈ばかりに没頭して,本来の経営業務と競争力の強化がおろしかになるという事態考えられなくもない。」という,しかし,無視してはだめだともいう。
 
 しかし,経営者にはいろいろ分析より大切なものがある。どうにでも解釈できるマーケットシグナルを「深読み」のように披露していくのはそれはそれでおもしろいが,おもしろいものとして扱っておいた方が無難のような気がする。
 
 たとえば,以下のような記事はどうだろうか。我々は何を読み取るだろうか。記事はもっと続くのいろいろ読み方があるだろう。こんなのは謎解きのようなもので,いろいろ言って楽しんだらいいじゃないかと思ったりする。
 
「大王製紙 タイと中国で乳幼児用紙おむつの生産設備を増強する。タイでは9月にラヨーン県にある工場の生産ラインを増やす。中国では江蘇省南通市の工場のラインをこのほど増設し、生産能力は1.5倍に向上した。」