名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.10.16 月曜日

中国での雇用の特徴

 中国労働法関係は2008年「中華人民共和国労働契約法」,「中華人民共和国労働争議調停仲裁法」ができあがり,2013年には最高人民法院が「労働争議事件における法律適用の若干の問題」を発表しこれらの法律の法解釈を明らかにした。
 
 私たちの印象からすると,中国労使関係では「契約」が非常に重視されている。日本の場合,もともと雇用は「契約」であって労使の自由な意思によって成り立っている。事情上の力関係は労使関係では使用者の方が強い。しかも「労働」は労働者の生活と直結しているため使用者の「力」が濫用された場合,生活が脅かされることになる。そこで,様々な労働法規をつくって契約自由の原則を制限してきたというのが日本を初めとしてた欧米の労働法制の歴史だ。
 
 中国の場合も自由な「契約」で成り立っており,労働法制がそれを制約するという構造には違いは無い。しかし,中国の市場経済はもともと非市場的な社会主義統制経済から出発している点が違う。中国ではもともと「固定工制度」「鉄飯椀」と言われる強固な労働管理制度だった。何世代も同じ企業で勤め,自由な契約という発想がそもそもほとんど無かった。しかし,市場経済下では労働契約制度の導入は不可欠だったために労働契約制度導入は1980年代,改革開放政策の重要な柱となっていた。
 
 中国で労働契約が重視されるのはこうした歴史的背景を持っている。
 市場経済の導入から始まり契約自由→社会保障的な制約の導入→労使相互調整手続きの整備と徐々に市場経済にあわせた改革が行われている。
 
 ともかく,市場経済導入にあたっては労働を「契約」としてとらえるという発想から始まっている点が重要となる。中国で人を雇用する場合は雇用契約や就業規則に具体的かつ詳細に雇用条件をきちんと書いておくことが必要だ。たとえば,中国労働契約法39条1項1号では「雇用条件に合致しないこと」が解雇の条件となっている。
 
 たとえば,営業であれば月間営業成績の最低ノルマ金額を記載する。労働契約法39条2号の「著しく会社の規則制度にはする場合」を契約を解除できるが,無断欠勤が「著しく」に該当するか就業規則に明示する必要がある。たとえば,5日以上連続して休んだ場合とかいろいろあるだろう。
 
 この外,日本の場合解雇そのものがかなり制約されているが,私の印象では中国では補償,つまり金銭的な解決によって法律上も多くが整理されているように思う。日本より解雇の自由度は高いようだ。