名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.10.23 月曜日

中小企業に役立つ「先端業界の競争戦略」

 マイケル・ポーターは「競争の戦略」で先端企業の競争戦略を展開している。先端企業というのは通常は高い技術力,たとえば化学,工学方面での先端技術を用いて事業を展開するような場合が典型的だ。
 
 長く存在する業界でも新しいコンセプトによる製品が登場する場合には状況は「先端業界」と同じような現象が生じうると思う。たとえば,トヨタがプリウスを売り出したとき,ハイブリッド市場という先端業界が生まれたと言ってもよいように思う。
 
 中小企業の場合,資源の投資には限界があるがそれでも常に新しいものを投入して自社の道を切り開いていかなければならないところは,ある意味,常に「先端業界の競争」にさらされているとも言える。工夫のない企業は滅んでしまいますからね。
 
 さて,企業が新しいことを始める場合,ポーターは当然業界分析が必要だと言う。その上で,新商品を採用する顧客,「早期採用者(early dopters)」のセグメントを明らかにする必要がある。「新しい商品をいったい誰が買ってくれるだろうか?」,そのような問をまず行わなければならない。
 
 新しい商品を買う顧客はそれまでにない新しい顧客だ。それはどのような理由で買ってくれるだろうか。「買い手には新しい製品やサービスの基本的な性質を知らせ,実際にそのとおりだとたしかめさせ,これだけいいものなら少々不安があっても買うのが当然,と納得させなければならない」。
 
 生まれたての商品に対し,顧客は「疑いの目でこれを見ることが多い」。こうした状況下でいかに顧客の信頼を勝ち取るかについてポーターは戦略上のいくつかの視点を提供している。いろいろあるので詳しくは著書を見ていただくことにして,重要だと思われることをいくつか指摘したい。
 
 新しく提案される商品の性能上の長所(advantage)は「買い手の置かれている状況によって,これには差が出る」。顧客が感じるベネフィットは当然顧客目線で判断することになる。この商品を利用することによって顧客は自社の競争力をどれだけ強化できるだろうか。あるいは,満足させるだろうか。こうしたことは顧客の置かれている具体的状況を分析して始めて可能になる。
 
 さらに,こうして提案される「その長所はどれくらい一目瞭然か。(How obvious is the advantage?)」。いかなる優秀な商品も目に触れなければないのと同じだ。もちろん目に触れるだけではだめで,「一目瞭然」でなければならならない。顧客は優秀さを理解し,信頼しなければ買わない。それは明快なコンセプト,宣伝,ブランド戦略にかかわっている。