名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.11.06 月曜日

プログラムの保護をはかる

 グーグル,フェイスブック,ツイッター,ラインなどすぐれたソフトウェアがたちどころに社会を変えるほどの大きな影響力を持ち,さらには大きな富をもたらしている。
 
 ひとつのアイディアが既存の製品,スマホ,GPS,インターネットなど組み合わされてこれまでにない事業形態を生み出すこともある。こうしたアイディアはいかに保護されるだろうか。
 
 最近ディスクパブリッシャーの利用権をめぐる判決が出されている。ディスクパブリッシャーとは、光ディスク(CD/DVD/Blu-Ray)の書き込みと、レーベル印刷を同時に行う装置のことだ。
 
 A社はもともと,B社よりディスクパブリッシャーのバージョンアップの開発を依頼されていた。このバージョンアップの仕事を終えたあとに,A社は同様の目的,機能を有するプログラムを開発して販売を開始した。A社にしてみれば,B社にアイディアを盗まれたと思うのもやむ得ないところだ。判決では保護の対象とはならないとした。しかし,判決は保護を否定した(知的財産高裁H26.3.12,判時2229号85頁)
 
 しかし,実際にこのシステムを守るというのは容易なことではない。
 システムという新しいアイディアに関係する知的財産には特許と著作権がある。
 
 特許は発明を保護するものであるが「発明」「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」(特許法2条)とされている。これは技術的なもの,つまり「物」に関係しないと発明にならない。こうしたソフトウェアの場合,既存技術を利用していることが多く,特許で保護することは難しい。
 
 もうひとつは著作権であるが,プログラムは原則として著作権の保護の対象とならない。プログラムに対する著作権の保護は「その著作物を作成するために用いるプログラム言語,既訳及び解法に及ばない」とされているからだ(著作権法103条3項)。プログラムはコンピュータへの指令の組み合わせでしかなく,創造的な表現とはされていない。
 
 しかし,複数の組み合わせがある中で当該プログラムの選択が作者の個性を表現するものになっていれば保護の対象となる。ソースコードと呼ばれるプログラムの核心部分について著作権で保護されるほどの独創性を明らかにすることは難しい。
 
 結局,こうしたプログラム,あるいはシステムについてのアイディアを保護するためには次の点を注意しながら事業を展開する必要がある。
 ① 特許,著作権で保護される範囲がとれるのであれば必ず確保する。
   プログラムの著作権保護が難しければ,その結果表現される成果物に著作権や意匠権などを追求できるかもしれない。
 
 ② プログラムにかかわるアイディアを「事業秘密」として保護をはかる。
   事業上の秘密とは秘密として価値ある情報を秘密として保護管理されている状況に置かなければならない。また,業務提携のパートナーとの間に秘密保全契約,競業避止義務契約を締結しておく必要がある。
 
 この契約による拘束こそがこうしたアイデアを保護する上で最後の砦となる。