名古屋E&J法律事務所ブログ

2018.05.01 火曜日

模倣行為の禁止

特別な器具を外注したところ,外注先がこれをまねして同じ形の製品を作り出して売り出すという行為がある。これは不正競争防止法上,「模倣」として禁止される。


 不正競争防止法は故意の模倣行為(デッドコピー:dead copy)を禁止している。(法2条1項3号)。せっかく新製品のために投資しても,簡単にまねされたのでは投資価値を失ってしまう。投資意欲の減退して社会の創造性を奪ってしまうと考えられている。

 条文では商品の「『形態』の『故意』の『模倣』が禁止されている。差し止めや賠償責任が発生する(3条)。他人のアイディアを利用しながらよい製品を作っていくというのは普通にあることなので,どんな場合が禁止されるかは注意を要する。

 特に中小企業の場合は自社での開発能力が低いため,どうしても良いものをまねしつつ自社の製品を向上させていくところがあるから思わぬところでこの条文にひっかかることがあるかもしれない。逆に,せっかくの工夫をまねされて困ることもあるのでこの条文を利用できるかもしれない。

 ともかく,他社製品を参考にしながら性能を向上させることし許される。技術的な発明を保護したければ別に特許という方法がある。

 そこで,法律は「模倣」の概念を「形態」に限定している。「形態」というのは難しい定義があるが,要するに外観を言う(2条1項7号)。

 本来外形は「著作権」や「意匠権」などに法律によって保護されているが,模倣はこれよりも広い概念となる。つまり,著作権や意匠権などによって保護されない場合も「模倣」と認定されれば,不正競争防止法の保護の対象となる。

 しかし,これでは広すぎるので,禁止の場合を「故意」つまり,「他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すこと」を禁じている。特定の製品を受注した外注先が,同じような製品を販売し始めるような場合が典型ではないかと思う。

 あくまで外観であるため,機能に関わる形態は保護の対象外だ。条文上は「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。」とし,つまり模倣ではないとしている。たとえば,エアコン内部のドレーンホースの構造が類似しているということで争いになった事例があるが,裁判所は内部構造の問題として,不正な模倣ではないとした(大阪地裁H8.11.28)。

 また,ありふれた外観の場合は保護の対象にならない。

 違反の場合は損害賠償請求や差し止め,刑事罰となる場合がある。
 
 
 このデッドコピーに関わる内容はガイドラインが出ている。
 →
 
【禁止行為】
「他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為」(法2条3号)
 
【形態】
「この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。」(法2条4項)
 
【模倣】
「この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。」(法2条5項)