名古屋E&J法律事務所ブログ

2018.07.09 月曜日

差別戦略の秘密

 マイケル・ポーターに従えば差別化戦略に特別な秘訣はない。

 仕入れ,製造,販売などの価値を生み出す会社活動の全ての総合力というところがある。会社の活動は顧客に達し,顧客が会社の活動に特別な価値を認めれば差別化は完了する。

 「買い手の全ての購買基準を満たすことで,買い手のために作り出された価値の合計こそが,差別化の全体水準である。」

  マイケル・ポーターのすぐれた点は,何か魔法のような1つの何かが差別化を生むわけではないことを明らかにしている。
 チョコレートの味,価格,入手のしやすさ,広告,ディスプレイ,卸業者との関係での注文処理のスピード,マージン,販売促進策,製造場所や販売場所の立地,こうした会社活動の全てが差別化の決め手となる。

 差別化はある意味地道な作業の積み重ねの結果ということになる。魔法のような特別な秘訣はない。

 マイケル・ポーターの天才部分は,こうしたとりとめなく存在する多数の要素を体系だって分析できるように分析の要素を提供している点にある。この体系だった分析手法は価値を生み出すに必要な部分を強化し,不必要な部分を削る作業を可能にする。

 この体系立つというのはこんな具合だ。

① 価値を生み出す,企業の活動の「連鎖」を検討する。
② 買い手が価値を見いだす価値の「連鎖」を検討する。それは安さだったり,ブランドだったり,入手しやすさだったりする。
③ この2つの連鎖が相互にかみ合っているか検討する。この「関係」ができあがる,現実化するところがまさに価値が生み出された状態だ。

【ポリシー選択】
 ところで,ここに差別化の魂を吹き込むためには差別化のための「ポリシー選択」が重視される。これは多くの要素を考慮し,あるときは重視し,あるときは切り捨て,あるときは一つの項目としてまとめるというような作業を行うため,明快な判断の基準が必要になるからだた。ポリシーとは経営理念の問題だ。自社の顧客が何を求めてきたかを考え,顧客が何を欲しているかを考え,会社のポリシーが選択される。経営理念なくして差別化は生まれない。

【定量化の必要】
 もう一つ重要なのは顧客の購買基準に相応した「定量化」が必要だ。買い手が価値と考えるものを正確につかむための基準を設ける必要がある。この定量化は時には難しい問題をはらみ,主観的に決めつけなければならない面もあるが,判断の客観性を担保するためには必要なことだ。

 つまり,ポリシー選択は経営理念にかかわる問題なのだが,すばらしい理念も,ポリシーも顧客に対する引力として作用しなければ,その経営理念は現実性がなく,言葉の遊びでしか無くなる。その引力の有無,程度が常に明確であるよう定量化は必要なことである。