名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.07.16 日曜日

中国労働者の雇用期間

 市場経済導入前,中国の労働者は終身雇用が保障されていた。子供達は原則お父さんと同じ職場に勤めていたようだ。こうした労働関係を「鉄飯碗」と呼ばれていた。しかし,市場経済導入にあたって労働力の流動化が進められる一方,労働契約法や社会保障制度の整備が進められていった。

 中国労働契約法はこうした背景をもって2007年6月に制定された。

 中国の有期雇用契約(固定期限労働契約)での解約は比較的容易に行われている。日本の場合のように更新拒絶が権利濫用に当たる例は少ないようだ。当然,労働者は無期雇用契約(無固定期限労働契約)への転換を望むことになる。

 雇用期限については中国労働契約法14条が定めている。雇用契約の期限をどのように定めるのかについては労使の合意によることが原則としている。

 しかし,①10年以上の長期にわたる契約や,②有期雇用契約を2度繰り返す場合には期限の定めのない雇用契約とみなされてしまうということになる。なお,条文では国営企業などについてみなされる場合を定めている。

 2度繰り返す場合については,一度更新してしまうと,2度目の更新時期には無固定期間労働契約となってしまう。これは当然に更新するという内容となる。

 ところで,不思議なことに,更新の意義について北京と上海とではルールが違うらしい。2度目の更新時期に当然更新を認めるのは北京のルールである(北京市高級人民法院,北京市労働争議仲裁委員会の労働争議案件法律適用問題に関する研究会の会議紀要34条)。

 一方上海ルールでは,2回目を拒絶でき,3回目の更新に際して契約する場合には無固定期限労働契約を締結しろという解釈となっている(上海市高級人民法院2002年公布「労働契約法の適用の若干問題に関する意見」4条4項)。

 以上はビジネス法務2015年6月号に掲載された記事の概要だが,上海ルールが適用されている地方はほとんどないようだ。期限の定めのない労働契約は解約が難しいので,筆者は「試用期間」をできるだけ有効活用するように勧めている。

 なお,中国労働契約法は次の記事が詳しい。