名古屋E&J法律事務所ブログ

2018.07.23 月曜日

意外と難しい「相殺」って何?

 相殺というのは「そうさい」と読みます。これは一流国立大学の学生でも読み方を知らないことがあって驚いてしまう。受験でやっただろうなどと思ってしまう。

 相殺というのは簡単に言ってしまえば,貸し借りがお互いにある場合に精算して残りを払うことを言う。

 民法505条1項にはこんな風に定めている。
 普通の人だとちょっと読んだくらいでは何が書いてあるか分からない。10文字ぐらい読んだところで,読む気をなくす。 

「二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。」

 A(貸主)→500万円→B(借主)
 A(借主)←500万円←B(貸主)

 というような時に,お互い500万円ずつで精算しましょうということになる。

 日常的に「精算」ということで行われている相殺だが,実務的には「担保」の意味も大きい。銀行はいざとなったら預金債権と相殺することで資金回収を図っている。預金を差し押さえしようと思ったら,相殺されて消えてしまうなんてことは日常的にある。

 簡単なように見えて,一般の人には中々分からない議論が少なくない。たとえば,相殺と時効との関係は実務的も司法試験的にも問題となる。

 相殺は「相殺します」と口頭,手紙,メールなどで相手に伝えないと効力は生じないということぐらいは知っておいてもよいかもしれない。そのため,私たちは相殺するときには原則として内容証明郵便を利用する。

 民法506条は次のように書いている。
「相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。」