名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.01.21 月曜日

けっこう重宝な説明義務

 契約上説明義務は重要な役割を果たしている。

 私たちの契約の大部分は物やサービスを提供して対価を得ている。物やサービスに欠陥があれば、それを補うために修理したり、代わりの物を提供したり、損害賠償したりする。つまり、「欠陥」の分だけ損をしているので、何かの形で「損」を補わなければならないというのが契約上の義務の発想だ。

 ところが、世の中にはこの理屈、私たちが等価性、有償性とよんでいる原則だけでは説明がつかないことがよくある。「説明義務」はよく分からないときによく出てくる義務だ。つまり、こんなはずでは無かったというところに、期待外れ、契約違反というのが起こるのだから、「こんなはず」というところに契約上の拘束力を持たせることによって、賠償など法的責任を引きだそうというのだ。

 たとえば、土地を売買したけれど、都市計画法や環境法の規制によって期待した建物が建たないことが判明したような場合はどうだろうか。売主や仲介業者は買主の期待を知っていただろうし、その期待にはそぐわない土地であることも知っていた。だったら、説明義務があるはずではないか。説明義務違反を理由に賠償を求めるということも検討の対象になる。

 自分の会社が必ず利益を得させるから、これだけの売り上げが見込めるから、是非商品を製造してくれ、と頼まれ、製造ラインを準備し、人も配置した。ところが、売り上げがあるなんてのは絵空事で最初から根拠がなかった。というような場合にも説明義務違反で責任を追及することになる。つまり、根拠の無いことをきちんと説明すべきだったということになる。

 表明保証責任という言葉がある。
 M&Aなど、会社の様子がわからないので、会社の決算の状況、簿外債務が無いこと、労使紛争その他の紛争がないことなど、会社の価値をはかるさまざまな事実を説明させ、それがまちがいないと保証させるものだ。表明保証させることによって、相手に圧力をかえ適切に説明させるための条項である。

 こんな具合に、説明義務というのはけっこう重宝しており、企業法務をあつかう弁護士としてはその法的根拠の探求や、契約条項上の工夫などは日頃からこころがけておく必要がある。