名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.02.18 月曜日

ソーシャルファーム

今日は大阪のソーシャルファーム、「こむの事業所」 のお話をうかがった。


 「仮認定法人こむの事業所」は障害を持つ人たちが自立するために活動している。ここの施設は障害者の中でも就職が困難な人たちを応援しようと趣旨で始められ、一方で事業体としての黒字化も目指している。この難しい試みに対して私たちが学ぶべきところは多い。

 リーダーの松藤さんは「ソーシャルファーム」であることにこだわりを持つ。ソーシャルファームはイタリアの「ソーシャル・コーポラティブ(社会的協同組合)」に起源を持つのだそうで、これは1970年頃、北イタリアの精神病院の入院患者が差別意識から就労できなかったため、病院職員ととともに仕事する企業を作り上げていったことから始まっている。このソーシャルファームの考え方は全世界に広まっている。

 このソーシャルファームの特徴は障害者の社会参加にビジネスの考え方を取り入れている点だ。社会的なビジネスというのはなんだかよく分からないところがある。障害者の生産性は高くはない。しかし、それでも利益をあげて黒字を確保するとはどういうことだろうか。そんな夢のようなことがあれば障害者の社会参加も可能となる。障害者が自立することで障害者をかかえた家族たちもどれほど安心できることか。

 ソーシャルファームがソーシャルビジネスの一つと言われている。この場合、ビジネスで言う「商品」、「顧客」、「利益=成果」はそれと異なった定義が必要となるのだろうか。

 たとえば、「障害者が雇用される」ということで、家庭での負担は確実に減る。彼らの労働は誰もが参加できる社会作りに貢献するという「公益」を生み出す。ボランティアは平等で安心できる社会作りに参加できるという喜びがあるかもしれない。あるいは、単純に人の役に立ったという喜びをえるかもしれない。

 その総体が彼らの労働の付加価値であると考えれば、補助金や寄付、ボランティアの受け入れによって事業を黒字化するということも可能かもしれない。

 その場合、彼らが生み出している「公益」という「成果」が客観化され、人々が「顧客」として参加することになる。それはそれで「成果」をめざした明快なマネジメントが必要だ。このビジネス的思考、社会性ある団体にマネジメントの考えを持つことはきわめて重要なことだ。

 ただ、ソーシャルファームの理想にはさらにノーマライゼーションという理想がある。障害者は障害者では無く、普通の人の一人、一人一人が違うように違っているに過ぎないという考えを真に実現するには、上乗せされる「公益」は可能な限り小さくし、自力で採算をとるのが理想ということになる。「こむの事業所」それに向けた追及を続けている。