名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.05.27 月曜日

システム管理者の責任

 SNS会員の登録を突然抹消されたことに対する損害賠償請求事件の判決が出た。

 利用者は「mixi」に加入して、サイト上で「リアル脱出ゲーム」のチケット購入希望を出し、氏名、携帯番号などを記載した。「mixi」では「面識のない異性との出会い等を目的として利用する行為」が禁止されている。「mixi」側ではこの規約に反するとして会員から抹消した。

 原告はこの約款は「出会い防止」のためのものであり、チケットのやりとりには当てはまらないとして「mixi」相手に損害賠償を提訴した。判決は規約通りだから抹消されてもやむ得ないとした(東京地裁H27.4.8判事2271号70頁)。

 こうした事件は米国でもあって、ヤフーの検索エンジン上位にいて繁盛していたある商店が突然検索エンジンに掲載されなくなったことを不服として裁判をした例がある。こうした事件は多くがサイトの管理運営者にかなりの権限があるようになっているため勝ち目が少ない。

 こういう事件もある。
 原告は健康食品を販売する会社だが、ウェブサイト上で、ホームページにアクセスした人が,ホームページ上で食習慣,生活習慣に関する質問に答えると,不足している栄養素の指摘とそれを補うためのサプリメントの組合せの提案を受けて,その組合せのサプリメントを購入できるというオーダーメイド型のサプリメント販売のビジネスモデルの実行した。

 このサイトは「○○プラザ」と称するサイトの運営をある会社に委託し、その会社は第三の会社の共用サーバーを利用してこのサイトを運営していた。ところが、第三の会社のサーバーが故障し、データがすべて喪失してしまった。原告はこの第三の会社相手にデータ管理責任に違反するとして損害賠償請求したのだ。

 ところが、約款上、サーバ故障によるデータ喪失に責任を負わないとの内容があったため原告の請求は認められなかった(東京地裁H21.5.20 判タ1308号260頁)。この事件はもう少し込み入っているが、簡単に紹介するとこんな風だ。

 SNSにしろ、サーバーをレンタルする会社にしろ、今日情報ルートとしてかなり大きな存在になっている。彼ら自身でも自分の所にためたデータをいろいろに利用している。現代社会ではサーバーを預かる者の責任は本来かなり大きいはずだ。一方的な約款で免責させていいものかどうか何か問題がありそうな気がする。