名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.01.28 木曜日

過労死は恐ろしい

「被告は原告に対し、1億8129万5233円及びこれに対する平成16年11月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。」

 
 平成22年2月16日、鹿児島地裁は飲食店の支店長が心臓発作で倒れて、脳性麻痺により植物状態にった事例について、会社に1億8000万円を越える賠償金を認めた(判時2078号89頁)。平成16年から平成22年までの遅延損害金が3割ほどあるだろうから、実際の賠償金は2億5000万円を上回るだろう。
 
 過労死は被害者に大変な悲劇をもたらすが、その報いは中小企業にあっては会社の存亡に関わる問題となる。
 
 この会社は「ふぁみり庵」「はいから亭」「寿しまどか」などの飲食店を経営していた。支店長は名ばかり支店長で、店員2名と3名で店舗を任されていた。2名の社員は調理を担当し、店長1名が接客に当たっていた外、食材の仕入れ、経理があったほか、事業報告を毎日作成しなければならなかった。
 
 これだけ書いただけでも大変な労働量だと推測できる。判決で認定された事実によると、一ヶ月の労働時間は344時間、時間外労働時間は200時間を超えた。一日12時間働き、203日連続して勤務していた。厳しいノルマが課せられる一方、本来5名の社員が必要なところ、事故直前は2名にまで減らされていた。
 
 これはかなりひどい。世の中には人を人とも思わない経営というのは実際あるものだと思ってしまう。会社が大きくなればなるほど、店舗あたりの経営効率を重視するようになったのだろう。社員はいつのまにか、統計の中の「要素」となってしまったのかもしれない。
 
 判決文を読んでいると、この会社には外食系の経営コンサルがついていたような気もしてくる。頭の悪い経営コンサルが数字上の経営計画を立て、ひたすら根性に頼って社員を酷使する、それが経営の厳しさだと思っていたかも知れない。
 
 会社の反論によれば、会社は過重に働いていたことを知らなかったという。しかし、こんな言い訳が通用するはずがない。