名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.02.08 月曜日

自殺と賠償保険

暗い話題で済みません。

 傷害保険は交通事故によって支払われる保険だ。搭乗者保険がセットになっていることが多い。搭乗者保険も交通事故によって被害が生じた場合に、一定額支払われる保険だ。これらの保険には自殺など故意に自らを傷つける場合には保険金が支払われない。生命保険については自殺でも支払われるが、保険によっては自殺では保険金ができないタイプもある。
 
 大阪地裁のこの事例は宅地開発のディベロッパーをしていた会社社長が事故によって死亡した事例だ。認定事実によると、この社長が自動車を運転していて、トンネルを抜けた先のポールに衝突し死亡した。自動車は焼損したのだがそれが不自然だというので自殺だと認定された。本件保険は非人為的事故の場合に支払われるため、自殺では保険金が支払われなかった。
 
 この会社には単年度の営業損失は1億円であり、借入残高は3億1200万円であった。
 
 保険は何らかの「事故」によって保険金請求権が発生する仕組みになっている。何を事故と見るかはいろいろで、生命保険であれば「死亡」が事故となるし、養老保険では「老齢」が事故となる。保険によっては「偶発的事故」が発生事由となるものがある。
 
 この「偶発性」「非人為性」について誰が立証責任を負担するかは法律上問題になる。自殺は人為的事故だから「偶発性」の要件を満たさない。
 
 保険契約の構造からすると、「偶然的な外来事故」によって生じた場合に保険金が支払われることになっている。例外的に、自殺行為など野場合には支払除外事由に当たる。契約約款だけみれば、事故が起これば支払われ、保険会社が「自殺」であることを立証しなければならない。
 
 しかし、一方で、「偶発的事故」よって支払われるということであれば、まず被害者において偶発的事故であることを立証することが必要とも考えられる。
 
 こうした問題については既に最高裁が決着を付けていて、保険によって複雑に変化する。傷害保険、搭乗者保険については請求側に立証責任がある。