名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.02.18 木曜日

製造元の説明責任

建物の請負業者が、金物業者から接着剤及びシーリング材を購入した事例だ(大阪高裁H20.3.26、判タ1283号132頁)。請負業者は製品を建物住宅の外壁に使用したところ、このシーリング材戸塗料との相性が悪かったために塗料の剥離が生じた。請負業者は施主から、補修にかなり費用がかかった。このような場合に請負業者は誰に損害を賠償できるだろうか。

 
 一口にシーリング材と言っても様々ある。請負業者はそれなりに専門家なのだから、どんな塗料と相性があうかぐらいは自分で調べるべきだろうか。それとも、売り主や、メーカーはどのようなタイプの塗料には相性が悪いかという情報提供をしておくべきだったろうか。
 
 今日では科学技術も発達して様々な製品が作り出されるようになった。作り出すメーカーの専門性は高くなっており、買い主は製品に対する情報をメーカーから得るより外はなくなっている場合がある。このような情報の偏在、非対称性を補うのが説明義務と呼ばれているものである。
 
 売買契約は物を売る、買うという話で必ずしも説明義務は出てこない。ただ、物を売るときに説明義務はある程度必要な場合がある。このシーリング材が非常に特殊で、一定の塗料にとは密着性がうまくいかないというような場合にはその旨説明しなければならない。この説明義務は、契約に付随する義務として解釈されている。本件ではそこまで特殊ではないとして金物屋の売り主としての責任を否定した。
 
 本件で特殊なのは、メーカーの説明責任が問題になったことだ。通常、メーカーには製造物責任があって、その責任は説明書きや販売に際しての使用方法を説明することで軽減される。本件では生命身体に関わるような欠陥が問題になった訳ではないので、この製造物責任は問題にならない。
 
 本件は製造物責任の問題ではないが、シーリング材についての説明責任が問題になった。メーカーは商品についての特殊性をきちっと表示し、説明する義務があったかどうかが問題になったのである。メーカーは直接契約の当事者ではないが説明責任はあるだろうか。
 
 判決は、情報が偏在しているか、当該商品の特殊性の程度、当該情報の重要度、関係者の専門的能力など総合的に判断した場合、一定の場合には説明義務はあるとしたが、本件では否定した。しかし、製造メーカーのとの関係のように直接の契約関係がなくとも、説明義務を認めた点では重要である。