名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.03.03 木曜日

インターネットと名誉毀損

インターネットは誰でも発信源になる画期的な媒体だ。メディアと言えば新聞、雑誌、テレビとマスコミに独占されていたが、今や、You-Tubeが日本の政治を動かすほどの力を持っている。

 
 しかし、それだけにウェブサイトでは名誉毀損が気になる。画像いかがわしく編集してサイトに流すというようなことは故意犯で論外だが、「匿名」だと安心してしまって気がゆるむことがある。
 
 名誉毀損とは何だろうか。事業者でも無関心でいるわけにはいかない。宣伝内容が名誉毀損にならないだろうか。あるいは、著作権を侵害していないだろうか。こういったといった相談はよく受ける。
 
 名誉毀損は「事実を摘示」して、「公表」し、「他人の名誉を傷つける」ような場合を言う。公表とは不特定多数の者に情報を流通させる行為とされている。ウェブサイトが会員制である場合には特定多数となる。また、容易に転送できるなら、伝搬することを前提にしているから特定,少数でも不特定多数と考えられてしまい名誉毀損となる。
 
 「事実の摘示」しなければ名誉毀損にならない。そのため、内容をあいまいにするということが行われることがある。「他人」といってもAさんとか○○さんとかにしてごまかすこともある。しかし、このような場合であっても文章全体からあのことだとか、あの人のことだとか、「事実」、「他人」が特定できると名誉毀損となりうる。なお、事実の摘示がなくても「あほ」とか「まぬけ」とか名誉感情を傷つける行為も文脈によっては不法行為となりうる。
 
 最高裁は「当該部分の前後の文脈等の事情を総合的に考慮すると、当該部分の叙述を前提として前記事項を黙示的に主張するものと理解されるならば、同部分はやはり、事実を摘示するものとみるのが相当である。」としている(最三H.9.9.9判時1618号52頁)。
 
 ところで、名誉毀損の場合の賠償額は小さい。私は500万円とか、1000万円とか高額な場合があってもいいと思うが裁判所は精神的苦痛という無形なものに賠償責任を認めることに消極的だ。
 
 「Aiをめぐる生臭い話」「病理学会の重鎮のお二人は・・・厚生省のイエスマンに成り果てています。」などいろいろとウェブ上に記載した記事についての事件だが、裁判所は名誉毀損による賠償責任が認めた。大きな社会問題になったが、賠償金は110万円だった(東京地裁H.22.1.18)。