名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.03.29 火曜日

中国の裁判所

最近中国法務の勉強をし、一方で「史記」を読んでいる。こういっちゃなんだが、中国の官僚制は3000年前に確立し、いまも変わっていないような気がする。

 
 判決における先例を判例を呼ぶことがある。弁護士はちょっとでも疑問がある事例については判例を調べおく。判例の拘束力という考えがあって、英米法では法律と同じぐらい重要な意味を持つ。ヨーロッパ大陸や我が国の司法界でも判例は法源として意味を持つとされている。
 
 しかし、中国では判例が必ずしも拘束力をもつ訳ではない。中国の裁判官は独立が保障されておらず、全て、最高人民法院の指示に従うことになっている。中国最高人民法院法によると、最高人民法院の解釈が法的拘束力を持つことになっている。解釈については解釈、規定、回答、決定の4種類が定められている。
 
 中国では全ての「権力」は最高人民代表大会が持つ。裁判所も含めて国の全ての機関は司法は行政機構の一部であり、官僚的な統制を受けている。こうした機構上の問題と、裁判官自体の法律的素養が不十分であるために、いろいろな形で裁判官は統制されていると言える。もっとも、裁判官からすれば国のサポートを受けて業務ができると考えているかも知れない。
 
 日本や欧米では、フランス革命以来、三権分立が確立した。司法は「法の番人」という位置づけがある。アメリカなどは伝統的に司法の力が強い。日本でも比較的よく独立している。それでも、ヒラメ裁判官はけっこういると言われている。
 
 契約上のトラブルなどがあると中国では権力者に頼ることが多い。裁判官が独立していないとこうした権力者による恣意的な解決を許すことになる。これは誰でも同じように商売できるという経済的自由を阻害し、ひいては国を危うくすることになる