名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.04.05 火曜日

ある火災保険に関する相談

友人の社長から「火災保険が出ない」という相談を受けた。

 保険というのは「保険(ほけん、insurance)は、偶然に発生する事故(保険事故)によって生じる財産上の損失に備えて、多数の者が金銭(保険料)を出し合い、その資金によって事故が発生した者に金銭(保険金)を給付する制度。」(wiki)とされている。    偶然に発生する事故かどうかが訴訟上問題となることがある。特に自殺については「偶発」とは言い難いため原則として保険金は出ない(保険法51条)。しかし、一定の保険では約款で自殺でも保険金が出るとしている。自殺では出ない保険の場合、自殺であること、自殺ではないことの立証責任がどちらにあるかがしばしば争われる。そもそも自殺とは何かが問題だ。例えば、極度のうつ病で死亡した場合、最後の引き金は自殺だが真の死因はうつ病だからだ。
 
 それはともかく、火災で保険金が支払われるのは確実だが、問題は被害をどのように算定するかという点にあるらしい。火災による賠償額の場合、家屋、家財道具の価格をどのように評価するかが問題になる。それは、時価とするか、再調達価格(新価とも呼ばれている。)とするかの問題だ。さらに、再調達価格である場合には、その再調達価格をどのように評価するかも問題になる。
 
 基本的には約款ということになるだろう。しかし、保険金の限度額が2000万円で、実際の時価が500万円という時、割り切れないものがある。というのは加入当初、2000万円を補償しますなんて言われることもあるからだ。およそ、2000万円もいきそうにない物件について2000万円に対応する保険料を支払っていたとしたら、「なんだ、この野郎。騙したのか」ということになる。
 
 ここでの説明義務違反があれば、約款の無効などを主張する機会があるように思う。しかし、やっかいなのは保険の代理店を通して保険会社は契約しているのでそのような説明義務違反をストレートに保険会社に追及できない可能性もあるのだ。それに、約款が無効になっても、余分に支払った保険料しか返金されないかも知れないのだ。
 
 ちなみに,東京地裁平成22年6月14日判決では、再調達価格が問題になり、保険設定時の保険会社による査定額をもって再調達価格と判示している(判タ1336号、251頁)。