名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.04.06 水曜日

労働協約・就業規則・労働契約

労働者の待遇を決める基準として労働協約、就業規則、労働契約がある。これらの相互関係はどのようになっているだろうか。例えば、賃金を下げようと言うときに、これらの相互関係は押さえておく必要がある。

 
 雇用は契約であるため、労働者の待遇は原則として労働契約によって決められる(労働契約法8条)。
 しかし、この労働契約は就業規則によって規律されているため、就業規則に反する契約は無効となる(労働契約法12条)。就業規則は労働契約の最低基準を定めたものであり、それより不利益なものは無効となるのである。
 
 さらに、労働者の待遇を決めるものに、労働協約というものがある。  労働協約というのは使用者と労働組合との協定で労働組合法に定められているものである。中小企業ではそもそも労働組合があまりないので関係ないかも知れない。
 
 ともかく、会社と組合とが労働協約を締結すると、労働協約は全組合員を拘束する(労働組合法16条)。就業規則と労働協約とが矛盾する場合には労働協約が優先する(労働契約法13条)。このような労働協約の効力を講学上は規範的効力と呼んでいる。
 
 おおざっぱに言うと、こんな感じだ。
 
  労働協約>就業規則>個別労働契約
 
 さて、例えば賃金を下げようと言うとき、どんなことを注意したらいいだろうか。  労働協約によって下げることは可能である。この場合には賃下げに関して、組合内部で十分な討議を経ている必要がある(「中根製作所事件」東京高裁H12.7.26)。
 
就業規則によって変更する場合には一方的な変更になる場合がある。就業規則の不利益変更は原則として許されない(労働契約法9条)。但し、一定の場合には許される(労働契約法10条)。その要素は次のようになっている。
 
  「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」(労働契約法10条)