名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.05.19 木曜日

取引先の倒産 2

取引先が倒産したときにどうしたらいいだろうか。

 それは一刻も早く自分の商品を引き上げる必要がある。自己の商品引き上げの根拠をどこに持ってくるかは中々悩ましい。
 
 私たちの経験上、倒産企業に押しかけて商品を引き上げる者に対しては窃盗などを理由に刑事告発で臨むこともある。だから、「先生、荷物をとってきてもいいですか。」などと相談されると困るのだ。犯罪行為を助長することは弁護士としては許されない。
 
 破産法上の「取戻権」というおもしろい権利がある。
 
 破産法62条
 「破産手続の開始は、破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利(第六十四条及び第七十八条第二項第十三号において「取戻権」という。)に影響を及ぼさない。」
 
 ちょっと読むとわかりにくいが、例えば倒産企業に自分の所有物が混入している場合には、破産後であっても取り戻すことができるということだ。例えば、自動車を預けていた、宝石の販売を委託していたなど、引き渡してはいるが所有権が手元に残っている場合には取り戻すことができる。
 
 これは破産後であっても取り戻すことができる。このことを盾に、破産開始前でも交渉して返還を求めることは可能だろう。
 
 ところで、よくある例は、商品納入直後に倒産した事例だ。売掛金が回収できていないという場合は、ここでの取戻権の問題ではない。民法上は契約成立時に所有権が移ってしまっているため、売主には権利はないからだ。
 
 しかし、買主に商品が残っている場合に、一応、先取特権という権利が売主にある。法律上は先取特権を行使するためにはしかるべき手続きが必要だが、そのような権利がある範囲で自力救済的な回復行為が実際には許されてしまうことがある。