名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.05.13 月曜日

意外と難しい圧迫骨折と後遺症

 交通事故で腰部に強い衝撃を受けて圧迫骨折になることがあります。脊椎の圧迫骨折というのは、脊椎が押し潰されるように変形してしまう骨折です。圧迫骨折の程度によって脊柱に障害を残すものとして後遺障害と認定されます。「骨折」なんだから当然痛い。痛いので当然後遺症が認められるというのが普通の考えです。

 しかし,交通事故の世界ではこの普通の考えが意外と通用しません。いくつか事例ではこんな点が問題になります。
 ① 骨折は腰のせいであって交通事故のせいではない。よく陳旧性という言葉がつかわれます。
 ② 骨折率が25%以内で骨折があっても被害がない。つまり,痛くないはずだし,そのうち治る。
 ③ そもそも,圧迫骨折自体が医師によって見落とされやすい。腰が痛い,痛いと思っていて,別の医師の診察を受けたら圧迫骨折があったということはけっこうあります。

 結局,圧迫骨折と後遺障害を結びつけるには次の点の立証が必要となります。
 ① まず,骨折率を明らかにする。これは他の脊椎と比較したり,健側(通常前の部分の骨折が多いので後ろ側の高さと比較する)
 ② 脊椎内にレントゲン所見から炎症などの所見が残っているか。炎症所見があると「水」が多くなります。しかし,時間がたつと落ち着いてしまいます。
 ③ 脊椎に仮骨(骨折部を体が修復するので,その時に仮の骨がブリッジのようにできあがる)などの所見があるか。
 ④ 事故後に痛みが発生しているか。これは鎮痛剤の処方であるとかいった腰部に対する治療の状況,日常生活の変化などから立証していくことになる。

 とにかく,骨折というかなり明快な傷害なのに難しいのです。