名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.05.18 土曜日

高次脳機能障害の認定

 交通事故における高次脳機能障害に関する自賠責保険の認定手続きでは特別な扱いとなっています。つまり,特定事案とされ,「高次脳機能障害審査会」にまわされ判断されます。この場合の判断は専門医によって行われます。

 高次脳機能障害審査会では次の点から交通事故による高次脳機能障害の案件かどうか判断しています。
 ① 意識障害の有無とその程度
 ② 画像所見
 ③ 事故との因果関係,他疾患との識別

 意識障害はかなり重視されています。しかし,意識障害とは言っても程度も様々で単純には言えません。そこで,画像所見とも重ね合わせながら,高次脳機能障害などを判断していくことになります。

 たとえば,受傷直後の急性期に点状出血像が見られるような場合にはびまん性軸索損傷と一応判断されることになります。これは事故による強い衝撃により脳に回転など強い負荷がかかり,脳に点状の出血像が確認できる場合です。その外,脳室の拡大や,脳萎縮なども高次脳機能障害を基礎づけることになります。

 事故直後の意識障害も認められず,画像上の所見も乏しいとなると高次脳機能障害の認定は非常に難しくなります。しかし,画像上の所見も専門家の判断によっては分かれることもあります。

 審査会では,高次脳機能障害を把握するため次の資料を求めてきます。
 ① 神経系統の障害に認められる医学的意見
 ② 知能検査,記憶検査など神経心理学的検査結果
 ③ 頭部外傷後の意識障害についての所見
 ④ 日常生活状況報告書

 高次脳機能障害は交通事故分野でも難しい事例となります。医学的立証がどうしてもつきまとうため一定の専門知識は欠かせません。実際の裁判となると,難しい案件になると,高齢者であるとか,内因性の疾患が発症したのだとか言われて争ってきます。