名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.06.21 金曜日

物損事故による慰謝料

交通事故によって物損のみが生じ、怪我などの人損は生じなかった事件の被害者の方から相談を受け、その中で、「慰謝料はとれないのか」という質問がありました。

 
残念ながら、物損を理由とする慰謝料は、原則認められません。物損の場合、被侵害利益が財産権である以上、損害も財産的損害に限られるからです(慰謝料は、財産的損害とは別の精神的損害により認められるものです。)。
 
もっとも、事案の内容に照らし、交通事故によって財産権だけでなく、これとは別個の権利・利益が侵害されたと評価できる場合は、慰謝料が認められています。
 
たとえば、建物の表玄関部分を損壊され、年末年始を含む1ヶ月以上にわたって、表玄関にベニヤ板を打ち付けた状態で過ごすことを余儀なくされ、それによって生活上及び家業上の不便を被ったことが認められ、これたによる精神的苦痛に対する慰謝料20万円を認めた例があります(大阪地判平成15年7月30日交民36巻4号1008頁)。
 
他にも、夜間自宅で就寝中にトラックが衝突して自宅が損傷した場合や、家族同様の愛情を注いでいたペットが死亡した場合なども、慰謝料が認められる可能性があると考えられます。