名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.07.14 日曜日

積極損害~付添看護費は、どの程度認められるの?

積極損害~付添看護費は、どの程度認められるの?
 
1 付添看護費用の算定基準
(1)加害者に請求する損害のうち、付添看護費用については、その額が争いになりやすいものの1つです。
(2)裁判上、原則として、下記のように取り扱われています。
  ① 原則として、医師が必要と認めた場合に認める。
  ② 入院付添費
   ア 職業付添人の場合は、必要かつ相当な実費を認める。
   イ 近親者付き添いの場合は、一日につき6300円の割合で認める。
  ③ 通院付添費
    症状又は幼児、身体障害者等と認められる場合は、一日につき、2500円ないし3000円の割合で認め     る。
  ④ 将来付添費
    平均余命までの期間、前各項に準じて算定し、中間利息を控除する。
 
 
  ※ 「交通事故損害賠償額算定基準」12訂版((財)日弁連交通事故相談センター愛知県支部)より
 
 
2 完全看護の場合の入院付添費について
(1)上記(2)①に関し、完全看護の場合、入院付添費の支払いを加害者が拒むことがありますが、下記事例が
 参考になります。
(2)名古屋地裁平成15年10月27日判決(平成14年(ワ)第1426号)
  ① 事故の態様・被害者の障害の程度等
この事故は、平成11年5月9日、東西に伸びる国道にその道路が合流する信号機による交通整理が行な
 
    われていないT字路交差点において起きました。加害者運転の事業用普通貨物自動車が南北道路を北進
 
    中、停止線手前で、一時停止の規制に従い、一時停止し、左折を開始したところ、優先道路である東西道
 
    路の第1車線より、時速約80kmの速度(制限速度は時速60km)で西進してきた被害者運転の自家用大型
 
    自動二輪車と衝突したものです。この事故により、被害者は、両側肺挫傷、多発肋骨骨折等の障害を負
 
    い、328日間の入院の末、1級3号に認定される後遺障害を残しました。
  ② 完全看護の場合の入院付き添い及び看護のための宿泊費についての判断
被害者が入院した病院が完全看護だったことから、加害者は、入院付添看護費及び看護のための宿泊 
 
    費については、不必要な支出であり、加害者に支払い義務はないと主張しました。
         しかし、裁判所は、以下のように判断して、入院付添看護費及び看護のための宿泊費について、被害
 
    者主張額を全額認容しました。
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 Xは完全看護の病院に入院したことが認められるものの、Xは、事故後数日は危篤状態であったこと、後遺障  
 害は1級3号に該当していることから、症状固定前はかなりの介護を要する状態であったことが窺われること、  
 当時独身であったXが入院期間中の305日間、Xの母が介護し、その内容はXの身の回りの世話、水を飲む、ラ 
 ジオのスイッチをいれる、買い物、リハビリの手伝いのほか、会話の余りできない状態であったXに代わりX勤  
 務先の休業に関する手続き等や保険会社との交渉、病院の支払いなどまでに及んでいることから、入院期間 
 中、Xの母による上記付添看護を行う必要があったことが認められる(入院期間1日当たり5500円の付添看護  
 費用を認容)。
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 Xに近親者の付添看護が必要であったことは上記の通りであるが、Xは当時独身であり、その付添も実家の母 
 によりされる必要があったこと、Xの入院先がXの実家から離れた遠隔地の病院であったこと、Xは本件交通  
 事故により瀕死の重傷を負って緊急入院したものであり、更に重度の後遺障害が残ることが予想されており、  
 家族の情愛としてその安否を気遣い見舞うのは当然のことであること、その支出の中に特段不必要な支出は  
 存しないことが認められる(150 万2700円を看護のための宿泊費として認容)。
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3 まとめ
  このように、完全看護であっても、入院付添の必要性や相当性を具体的に主張立証することで、裁判では、 
 
 認められることもあります。完全看護の場合に付き添われたときは、付き添いながら何をしたかを、日誌のよう
 
 に書き留めておくとよいでしょう。