名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.08.07 水曜日

後遺障害をめぐる裁判所の判断と自賠責の判断との違い

後遺障害について自賠責の判断がなされたものの、等級に納得出来ないまま裁判をする場合があります。

 今回は、自賠責の判断がどのように裁判所の判断につながるかについて検討します。
 
1 一般論
 後遺障害の認定及び損害評価は事実認定の問題です。したがって、裁判官は全証拠に基づいて自由に判断をすることが出来るのが原則です。これを自由心証主義と言います。
 しかし、実務においては、自賠責における後遺障害認定の方法が損害認定に大きく影響しています。
 
2 自賠責の認定が判決で変更される理由
 自賠責の認定が判決で変更されるパターンとしては、大きく分けて以下の場合が考えられます。
(1) 訴訟において新たな証拠(鑑定意見、医証等)が提出された場合
   この場合は、自賠責の判断の際と前提事実が異なるため、判決で変更されることもあり得ます。
(2) 因果関係の存否に対する評価の違いがある場合
   この場合は、一定の損害を前提に「等級は何級に該当するか。」を判断するのではなく、賠償となる損害の範囲そのものが変更されるため、自賠責の判断が判決で変更されることもあり得ます。
(3) 裁判官が独自の基準で等級認定をする場合(大阪地判H6.2.17等)
   もっとも、裁判官が独自の基準で等級認定した判決は少数と思われます。
 
3 一般的に自賠責とは異なった考え方で後遺障害を認定している場合
 次に、一般的に自賠責とは異なった考え方で認定するパターンを例示します。
(1) 永久残存性を前提としない症状を後遺障害として認定する
局部の神経症状(むち打ち)における喪失期間の認定
    14級・・・ 5%喪失+喪失期間5年以下
    12級・・・14%喪失+喪失期間5~10年の認定が顕著
(2) 後遺障害別等級表・喪失率表とは違う労働能力喪失率を認定する場合
a 等級どおりの喪失率が認められない傾向にある後遺障害
      外貌醜状、腸骨採取、脊柱の変形、臭覚・味覚障害、脾臓喪失、鎖骨の変形、歯牙障害
    b 具体的な職業によって、喪失率を等級表より大きくみる場合
      肉体労働者、技術職の神経症状
 
4 結語
 以上のとおり、一般的に自賠責と異なった判断が下される場合もありますが、多くは自賠責の認定が採用されているのが実情と言えます。
 もっとも、私が担当したケースで、自賠責で14級と認定されたところ、和解で終わりましたが13級相当と判断された場合もあります。
 諦めずに主張をすることが大事だと思います。