名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.08.12 月曜日

過失が10対0と判断されやすい事故④ 自転車対四輪車の場合

過失相殺の割合で10対0が基本とされるケースについての第四回目,最後の解説です。

第1回の歩行者対車(http://blogs.yahoo.co.jp/eandjnagoya/26638620.html),第2回の車対車(http://blogs.yahoo.co.jp/eandjnagoya/26851350.html),第3回の単車対車(http://blogs.yahoo.co.jp/eandjnagoya/folder/962562.html)に引き続き,今回は自転車対四輪自動車のケースで,自転車の過失が0となる場合を解説します。
 
 
㋐交差点で,自転車側が青信号,四輪車側が赤信号で四輪車が進行してきた場合
 信号の色から,明らかに四輪車側が悪いと判断されます。なお,逆に自転車側が赤信号,四輪車が青信号の場合,過失割合は自転車8割,四輪車2割となります。
 
 
㋑交差点手前30m以内の地点で,直進自転車を後方から四輪車が追い抜いて左折しようとした場合
 いわゆる巻き込み事故のケースです。
 なお,交差点手前30mの地点で,既に四輪車が左折の合図を出して左折を開始した場合でも,自転車側の過失は1割にとどまるのが基本とされています。この場合,交差点の手前30m以内は道路交通法30条3号で追い越しが禁止され,横断歩道の手前30m以内は道路交通法38条3項で追い抜きが禁止されているという点で,自転車側にも道路交通法違反の問題はあります。ですが,四輪車の側に左寄りが不十分な点での過失があることや,直進車優先が原則であること,それに自転車は路側帯の通行が可能であることなどから,自転車側の過失が比較的小さいと判断されるようです。
 
 
㋒四輪車がセンターオーバーして,直進する対向車の自転車と衝突した場合
 この場合,左側通行の原則(道路交通法18条1項)のいう基本的なルールの違反になることや,四輪車のセンターオーバーは無理な追い越しや運転操作のミスのような急な行動が原因になることが多く,センターオーバーを予測しにくいことから,センターオーバーをした四輪車側の過失が10割になります。
 ただ,逆に自転車側がセンターオーバーした場合は,自転車と四輪車の過失割合は5分5分になります。これは,①自転車がセンターオーバーするときは,多くは横断や右折のために行う場合なので,道路の左端からセンターへ寄る動きをする場合が多く,センターオーバーを予測しやすいことや,②たとえ自転車が最初からセンターに寄っていた場合も,それは自転車の動きとしては異常なので,やはりセンターオーバーをしてくる予測がしやすいことが理由になっているようです。
 
 
 
以上が,自転車対四輪車の場合での過失が10対0となるケースです。
信号の色や四輪車側のセンターオーバーなどは当然過失0になるべきケースですが,追い抜きされる場合のように,自転車特有の考慮がされている場合もあるようです。