名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.08.12 月曜日

時効について

交通事故によって受けた損害を加害者に対して請求する場合、その根拠は不法行為に基づく損害賠償請求権という権利です。そして、この権利は、民法724条前段の規定により、被害者が「損害及び加害者を知った時」から3年間行使しなければ時効によって消滅してしまいます。

 物損のみが発生した事案では、「損害・・を知った時」は交通事故の日がそれにあたる場合が多く、争いになるケースは多くありません。  これに対し、人身損害が発生している場合、特に被害者が後遺障害を受けた事案においては、治療が長期間を要し、損害の全体像が明らかになるのは一定期間の治療を経た後となることもありますし、受傷時から相当期間経過後に受傷時には予想し得なかった後遺障害が現れるような場合もあります。そこで、人身損害が発生している事案においては「損害・・を知った時」の意義・解釈が問題となることがあります。  最判平成16年12月24日(判タ1174号252頁)は、被害者が医師から交通事故による傷害の症状が固定した旨の診断を受けた時がそれに当たると判断しており、後遺障害が発生した事案では基本的に症状固定時が「損害・・を知った時」とされていると考えられます。  治療の継続について被害者と保険会社とで見解が異なる場合には症状固定時期について争いがあることになりますから、時効の進行について特に注意が必要といえます。